準優勝に導いた興国のダブルエース「今はライバル以上」

甲斐江里子、小林太一
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(1日、高校野球大阪大会決勝 大阪桐蔭4-3興国)

 興国の田坂祐士君(3年)と大江遼也君(3年)の両左腕はこの大会、チームを準優勝まで導いた立役者だ。

 秋も対決した大阪桐蔭との決勝、先発したのは背番号1の田坂君だった。告げられたのは、この日の朝。エースとして、「自分が投げきって大阪桐蔭に勝つ」と気合が入った。

 だが三回、大阪桐蔭打線に捕まった。2連続安打で無死一、二塁のピンチに。タイムを取り、集まった仲間から「あとは野手に助けてもらえ」と言われ、強くうなずいた。

 犠打で1死二、三塁にされ、迎えたのは4番打者。バックを信じて腕を振り切った。相手の打力が勝った。右中間に三塁打を打たれ、この回、3点を先制された。3アウト目は空振り三振で奪い、ここで降板した。

 春の大会でエースナンバーをつけていたのは大江君だった。春大会前の練習試合で調子があがらなかった田坂君は背番号10。「悔しくて、夏は絶対1番を取ると心に強く決めた」。大江君よりも、チームの誰よりもたくさん走り込んできた。

 今大会、背番号10の大江君は「エースナンバーで夏を迎えられないのは悔しかった。でも、プレーで見せるしかない」。喜多隆志監督(41)からは「甲子園ではエースナンバーつけろよ」と発破をかけられ、田坂君を意識した。準決勝まで4試合で登板し、得意の変化球を駆使して計23回2/3を失点2に抑えてきた。

 この試合は、八回からマウンドへ。打者3人で片づけ、引き上げるとベンチにいた田坂君は「ナイスピッチャー」と迎えた。

 同点の九回裏、抑えれば延長に持ち込める。2死三塁のピンチで打席には大阪桐蔭の主将。大江君は「ここで切ったら勢いがつく。きっちり抑えよう」。初球は得意のスライダーを投じた。しかし、打ち返された打球は左前へ飛び、サヨナラ負け。打たれた瞬間は覚えていない。

 試合後、喜多監督は「2人はダブルエース。大会の中で成長してくれた」とねぎらった。

 田坂君は「どちらが投げても抑えられるように2人で練習してきた。最後は自分が抑えたかった」と泣きじゃくった。大江君も「1人ではここまで来られなかった。今はライバル以上の関係です」。

 ライバルは互いを強くした。(甲斐江里子、小林太一)