「絵はがき」に見る日中戦争、従軍画家のまなざし

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編集委員・中村俊介
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 日中戦争時、多くの画家が従軍して大陸に渡った。彼らが残した膨大な「絵はがき」の分析に、国際日本文化研究センター京都市)の研究者が取り組んでいる。小さな絵はがきから、当時の世相や異国の風景・風俗が浮かびあがってくる。

 1937年、日中戦争が勃発。軍は国内の戦意高揚や記録を目的に、多くの職業画家を大陸に派遣した。45年の終戦まで、のべで千人を超えたともいう。

 その役割から現在ではネガティブな印象をもたれがちな従軍画家だが、彼らが残した絵は、自国の兵士が活躍する戦闘シーンや占領地の人々と兵士の交流場面といったプロパガンダ的な主題ばかりではなかった。たとえば軍事郵便絵はがきに描かれた、当時の中国の景色や暮らしの様子だ。

 年間4億通にものぼった軍事郵便のうち、前線の兵士たちに配られた絵はがきはかなりの量を占めるという。画家たちが現地で目にした光景は、日本で兵士の帰郷を待つ家族や友人たちに異国の豊富な情報をもたらした。

 「そんなの、研究材料になるの?と言われましたよ。でもやってみると、意外にも情報の宝庫でね」。日文研の劉建輝教授は苦笑する。

 劉さんは中国遼寧省の出身…

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