大島康徳さんに見せたかった東京五輪

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中島鉄郎
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竜党のつぶやき 中日ドラゴンズへの深すぎる愛

 東京五輪を戦う「侍ジャパン」の試合を見ていてふと気づく。

 面白いことは面白いのだが、ドラゴンズの試合に夢中になって、興奮したり、落胆したり、気が高ぶったり、不機嫌になったりする「熱」のようなものが、自分の中にはほとんどないようだ、と。

 坂本勇人山田哲人といったライバル球団の主力が試合を決める一打を放つのを見ても、「やったー」と喜ぶというか、「やっぱり勝負強いよなあ」と半ばあきれるような感情のほうが大きい。

 それより、エキシビションマッチの日本ハム戦で、マイク・ガーバーが2本のホームランを放ったらしいじゃないか。ガーバーよ、頼むから後半戦こそは助っ人の働きをしっかり見せてくれよ。

 中日の試合ほどは熱狂できない五輪の野球ではあるが、それはそれで別な楽しみがある。

中日ドラゴンズにまつわる話題をお届けします。コラム「竜党のつぶやき」は毎月第1火曜日に配信します。

 元ドラゴンズ助っ人たちの「同窓会」だ。ドミニカ共和国のベンチに、コーチとして参加したアンダーソン・エルナンデスの、あの人なつっこい笑顔が見えると明るい気持ちになる。2015年には138試合に出て、打率2割7分1厘、11本塁打、58打点の成績を残した両打ちのエルナンデス。もし彼が今シーズン中日にいたら、内野のレギュラーだろう。

 そして、福留孝介と同じ1977年生まれ、いま43歳の「バルデスおじさん」ことラウル・バルデスもドミニカ共和国のメンバー入り。韓国戦で先発し、1失点で抑える見事な投球を見せた。

 中日時代、援護点に恵まれなくとも黙々と投げ続ける姿は、どんな環境でも腐ることなく働き続ける選手のかがみともいえた。3シーズンで17勝を挙げ、いずれの年も防御率3点台。こちらももし今シーズンにいたら、貴重な先発になったはずなのだ。

 前日までトラブル続きだった五輪の開会式には、松井秀喜さんとともに王貞治さん、長嶋茂雄さんが聖火ランナーとして登場した。長嶋さんはまな弟子に支えられながら歩いており、最後に聖火を手渡すシーンでは笑みを浮かべるのを見て、何となくホッとした。

大島さんに見せたかったなあ

 このシーンを見て、ふと「大島康徳さんに見せたかったなあ」と思った。大島さんは6月30日、70歳の若さで大腸がんで亡くなった。少年時代、鮮烈な姿を記憶に刻んでくれた竜のレジェンドたちが最近は次々と旅立っていく。

 大島さんが輝いた姿といえば…

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