「ばあばが私のママ」熱海土石流、残された家族の1カ月
増山祐史 山口啓太 植松敬
20人以上が犠牲になった静岡県熱海市の土石流災害から3日で1カ月。突然帰らぬ人となった最愛の母や娘、夫、かつての同級生……。残された人たちは、いまも癒えぬ悲しみと向き合っている。
「熱海が大変なことになっている」
7月3日。瀬下(せしも)陽子さん(77)の長男、雄史さん(53)は弟からの電話で、千葉県の自宅でテレビをつけた。土砂にのまれる伊豆山(いずさん)地区の映像が目に飛び込んできた。慌てて一人暮らしの母に電話したが、つながらない。「どこにいるの」「大丈夫?」。LINEのメッセージを送っても「既読」の表示はつかなかった。
いてもたってもいられず、ツイッターで「【瀬下陽子】を避難所で見た、話したという方からの情報をお待ちしています」とつぶやいた。拡散され、励ましの言葉ももらったが、目撃情報は寄せられなかった。
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