一般人に戻ると「五輪は中止すべき」と感じた 元バスケ代表の戸惑い

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 6月、バスケットボール女子元日本代表の大崎佑圭(31)のもとに、母校の東京成徳高から講演依頼があった。新型コロナウイルスの影響で、生徒たちが東京オリンピック(五輪)にネガティブな印象を持っている。本来の素晴らしさも知ってほしいから、過去の体験を話して欲しい。そんな趣旨だった。

 2016年リオデジャネイロ五輪を経験した。街に着いた瞬間から祝祭感があふれ、選手村では各国各競技のスター選手たちと交流した。「ウサイン・ボルトさんが誕生日で、みんなでハッピーバースデーを歌った。今も忘れられない思い出」。そんな話を披露しようと思っていたが、コロナの感染拡大の影響などで、講演会はまだ実現していない。

 リオ五輪を終えてから出産し、その後は育児に専念していたが、東京五輪への思いが大きくなった。20年1月、日本代表候補に選出。産後の選手が選ばれたのは史上初めてだった。

 手応えをつかみ始めた春先に、東京五輪の1年延期が決まった。「1年後、本当にできるのか。できたとして、観客は入るのか。不透明なものに突き進み続ける精神力が、私にはもうない」。気力が続かず、現役引退を宣言した。

 一般人に戻った日常で、スポーツを遠くに感じた。「ネットショッピングのセールと同じくらいの頻度」で緊急事態宣言が出るようになった。近所の飲食店も次々につぶれた。公園も封鎖され、「普通の感覚で言ったら、五輪は中止するべきだと思った」。

 一方、代表でともに戦った仲間の姿が頭に浮かんだ。「人生をかけて臨む舞台を奪わないでほしい」。二つの相反する思いを抱え、モヤモヤは晴れなかった。

「元代表」と「一般人」の間で感情が揺れ動いた大崎さん。記事後半でご覧いただけるドキュメント動画でもその胸の内を語ってくれています。日本女子代表がリオ五輪に続いて挑む準々決勝は4日午後5時20分開始予定、相手はベルギーです。

 逆風のなか、東京五輪は幕を…

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