朽ちているけど美しい 廃虚ツアー、1万円でも即満員

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上田学
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 長年放置され、朽ちた建物や施設が残る「廃虚」を地域の貴重な遺産と捉え直し、保存・活用する動きが広がっている。なかには地元住民ら関係者の熱意で国の文化財に転じた廃虚もあり、いかに後世に残していくかが課題となっている。

 宮城県大崎市にある化女沼(けじょぬま)のほとりに、ひっそりとたたずむ「化女沼レジャーランド」がある。経営不振で20年余り前に閉園した遊園地だ。雑草が生い茂る約11万平方メートルの敷地には、さびた観覧車やメリーゴーラウンドが残されている。

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雑草の中にさび付いた遊具が残る化女沼レジャーランド=宮城県大崎市

 「ここで人気バンドのゴダイゴがライブした記録が残されています」。敷地内の野外ステージ跡で6月中旬、仙台市の旅行会社「たびのレシピ」の広瀬雅州(まさくに)さん(53)が、訪れたツアー参加者30人に説明した。

 首都圏から1人で訪れた参加者が多い。広瀬さんは当時の所有者や関係者から独自に聞き取った話題や情報を随所で披露する。午前は案内付きで、午後は自由時間が設けられている。

 「さびた遊具がそのまま残されているのがいい。廃れた感じが想像を膨らませてくれる」と東京都内の会社員女性(21)は思いをはせた。廃虚ファンという大学2年の男性(19)は「合法で見られるし、いつ取り壊されるかもわからないので」と動画を撮っていた。

 5回目の参加という仙台市の会社員女性(43)は「朽ちているけど美しい。今はしんとしているけど、子どもたちの声が聞こえてくるようでノスタルジーを感じる」と魅力を語った。

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化女沼レジャーランドのさび付いたゲートを撮影するツアー参加者ら=宮城県大崎市

 1979年に開園し、最盛期は年約20万人が訪れた。だが、バブル崩壊の影響で2001年に閉園に追い込まれた。当時の所有者が再開を模索している間、遊具は使われず、朽ちていった。

 転機は10年公開の映画だっ…

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