習氏の文化遺産政策を異例特集 人民日報、進む権威づけ

北京=冨名腰隆
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 中国共産党機関紙の人民日報は2日付紙面で、習近平(シーチンピン)国家主席が文化遺産や自然遺産の保護に取り組んできた成果を伝える異例の4ページの特集記事を掲載した。習氏が優れたリーダーであることを強調する内容で、来年秋の共産党大会以降も最高指導者にとどまることが有力視される習氏の権威づけが着実に進んでいる。

 記事は、習氏が1985年から17年間を過ごした福建省時代の活動を回想。後に世界文化遺産に登録された福建土楼や鼓浪嶼の文化保護に尽力した様子を描いた。アヘン戦争後に開港したアモイ市の鼓浪嶼は、日本の総領事館が置かれるなど独自の建築文化が育った場所だが、中国建国後は長年放置されてきた。習氏は副市長として赴任後、修復工事を即決したという。福建省では7月、世界遺産登録を審査するユネスコ国連教育科学文化機関世界遺産委員会も開かれた。

 習氏が文化遺産の保護に熱心な背景には、中華文明と共産党の歴史を結びつける思惑がある。昨年12月、党機関誌に「考古学を整備し、歴史の長い中華文明を認識しよう」とする論文を発表。2019年にはアジア各国との文化交流促進を目指す「アジア文明対話大会」も初開催した。新型コロナが収まれば2回目の大会を開く意向もすでに宣言している。党関係者は「共産党の歴史はまだ100年だが、歴史の上に現在の政治体制があることをアピールする取り組みだ」と説明する。

 こうした習氏の政策方針は、自らの名を冠した「思想」として細分化されつつある。17年の前回党大会後、「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」が党規約と憲法に盛り込まれたが、その後も「習近平強軍思想」「習近平外交思想」「習近平経済思想」「習近平法治思想」などが次々に発表され、権威づけにつながっている。(北京=冨名腰隆