国学院久我山エース 甲子園で使いたかった先輩のグラブ

木村浩之
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(2日、高校野球西東京大会決勝 東海大菅生8-3国学院久我山)

 2年前の夏、国学院久我山の高橋風太(3年)は、当時のエースにグラブをもらった。同校が28年ぶりに出場した夏の甲子園から、東京に戻る時のこと。ベンチ入りできずに悔しがった高橋へのエールだった。ふだん練習で使うが、試合では、はめていない。甲子園で使うつもりだった。

 1年生だったあの夏。高橋は背番号19を背負って西東京大会を戦ったが、甲子園ではメンバーから外れた。アルプス席には一躍有名になったチャンステーマ「一本」が響き、そのたびに得点。チームは甲子園初白星を飾った。「いい雰囲気で楽しかった。でも、やっぱりグラウンドで戦いたかった。もう一度、自分の手で甲子園に行きたい」。そう思い続けてきた。

 昨秋の都大会。自分が降板した後に逆転され、選抜大会出場の夢が散った。冬場以降、途中でマウンドを譲らない体力をつけようと走り込みに励んだ。

 この夏、成果は出た。5回戦の早稲田実戦でも完投し、強打の強豪を振り切った。熱投135球。準決勝の日大三戦でも121球を投げきった。

 決勝は、少しだけ相手が上だった。同点の四回裏、1死一、三塁で1番・千田光一郎(同)にスライダーを打たれた。ゴロを打たせての併殺を狙ったが、うまく合わされた。5回7失点でマウンドを降りた。

 捕手の黒崎将太(同)は「先輩の活躍を間近で見た甲子園での悔しさから、『自分が引っ張るんだ』という意識を持っていた」とねぎらった。試合後、高橋は「準優勝は事実。少しだけ、足跡を残せたかもしれない」と、小さく胸をはった。

 この夏、強豪の前に仁王立ちした身長168センチ。みんな、感じていた。すごく、大きく見えると。=東京ドーム(木村浩之)