緊急事態、書き入れ時の夏休み直撃「怒りしかわかない」

新型コロナウイルス

高室杏子、小木雄太 稲田博一
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 千葉県内に2日出された3度目の緊急事態宣言は、夏休み期間を初めて直撃することになった。書き入れ時に、県境をまたぐ移動の自粛が求められ、観光業界からは嘆きの声が漏れる。

 「もう3度目、いつまで繰り返すのか。国の政治には怒りしかない」

 川沿いに柳がなびき、昔ながらの町並みが広がる香取市の「佐原」。「北総の小江戸」とも呼ばれるその一角で「茶屋花冠本店」を営む主人の松本栄文さん(39)は声を震わせた。

 町には例年春から秋にかけて多くの観光客が訪れる。これまでの宣言は、観光客が比較的少ない時期だったため影響はそれほど大きくなかったというが、今回は夏休みやお盆にもかかり、「観光客が訪れていた店にとっては死活問題だ」とうなだれた。

 この日は家族連れらが名物のうなぎ屋などに出入りしていたが、人出はまばら。コロナ禍で客が減り、花冠は平日で少ないときは2万円の売り上げで、土日でもコロナ禍以前ほどの売り上げは難しいという。

 「佐原は観光で活性化を目指してきた町。このままだと観光業も先がない。国にはもっと危機感を持った支援をしてほしい」

 感染がなお落ち着いている鴨川市でも、夏休みに多くの観光客でにぎわう鴨川シーワールドで宣言の影響が出始めた。

 夏は海水浴と合わせて訪れる客も多いというが、市は宣言を受けて、この日から海水浴場を閉鎖。同園に併設されているホテルでは、8月中はほぼ連日、約70の客室が予約で埋まっていたが、キャンセルの電話が相次いでいるという。

 担当者は「再びの宣言と海水浴場の閉鎖は、正直厳しい。感染状況は地域で違っているので、別々の対応になったらいいなと思っていましたが……。しょうがないですね」と漏らした。コロナ禍だった昨夏の売り上げは例年の半分程度。今年も同じくらいの売り上げを見込んでいる。

 富津市のマザー牧場では、要請に合わせて閉園時間を30分前倒しし、お酒の提供を取りやめた。

 マザー牧場では、コロナ禍でも新たな需要を掘り起こそうと、手ぶらでキャンプができるグランピング施設を6月に開設。他の客との接触がなく、自然の中で密になりにくいなどの魅力があり、9月まで予約が取れないほど人気だ。しかし、担当者は「宿泊される大部分は県外や遠い地域の方々なので、県境の移動自粛となれば今後の影響は免れない」とこぼす。(高室杏子、小木雄太)

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人通りのない佐原の町並み=2021年8月2日午後5時、香取市、高室杏子撮影

知事「東京の水準いずれ来る」

 熊谷俊人千葉県知事は2日、視察先の東庄町で報道陣の取材に応じ、3度目の緊急事態宣言となったことについて「行動が制限され、心苦しく思う。東京の感染状況の水準がいずれ千葉にも来て、最終的には助かる命が助からない局面が出てくる。そういう状況を少しでも抑えていくためには、限られた期間、一つ一つの行動を感染防止の観点から見直してほしい」と訴えた。

 また、県内の感染状況について、「東京由来を超えて、県内での感染爆発の方向に進んでいると思っている。この水準で止めたいと思っているが、医療提供体制をどのように維持していくか、病床確保計画を議論してしっかりと必要な時期に必要な対応を重ねていきたい」と述べた。

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東庄町役場で取材に応じる熊谷知事=2021年8月2日午後5時38分、東庄町役場、高室杏子撮影

野外イベントも急きょ中断

 緊急事態宣言に伴い、急きょ中断するイベントも出てきた。7月から本格的に始まったいすみ市の「国吉屋台村」は8月中の開催をやめた。

 いすみ鉄道国吉駅近くにキッチンカーや屋台などが集まるイベントで、呼びかけ人の佐野達夫さん(53)によると、7月22~24日には延べ24店舗が参加した。「刺し身からピザまで」が売りもので、特徴あるカレーやうどん、おにぎり、焼きそばなどの店が並んだ。

 屋外開催で、基本的には持ち帰り形式。その場で食べる人も、少し離れた広場を使う。感染には万全の注意を払ってきたつもりだが、「それでも、店の周りに人が集まって密になる心配があり、会場周辺の人に配慮して中断を決めた」という。

 「キッチンカーが人気というのは都会の話。地方は集客が難しく、こういうイベントが開けないと、たちゆかなくなる」と佐野さんは話す。(稲田博一)

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8月の中断が決まった国吉屋台村=2021年7月22日午後0時53分、千葉県いすみ市、稲田博一撮影

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