好転見えぬミャンマー 日本にしかできない役割がある

有料会員記事ミャンマーはいま

聞き手・荒ちひろ 聞き手・半田尚子 聞き手・五十嵐誠
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グラフィック・小林省太
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 ミャンマーのクーデターから半年。国軍は抵抗する市民を徹底的に弾圧し、犠牲者は900人を超えた。事態が好転する兆しを見いだしにくいなかで、国際社会はどう対応すべきか。

ミンアウンフライン氏と20回面会、言葉と裏腹の野心 樋口建史さん(前駐ミャンマー大使)

 大使在任中、ミンアウンフライン氏とは20回近く会いました。2015年の総選挙でアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝した直後には「万一に備えて部隊を待機させていたが、社会的な騒動にならなくてよかった」と語り、厳しい国民の審判を穏やかに受け入れていたのが印象的でした。

 ところが今回はクーデターが起きてしまった。背景にあるのは国軍の政治的立場への危機感と野心です。

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前駐ミャンマー大使の樋口建史さん=東京都中央区、井手さゆり撮影

 軍政下の08年に施行した現行憲法は、民政移管後も国軍が国家運営に関わる権限を維持できるよう定めています。しかし、NLDは政権につくと国家顧問という役職を新設し、憲法の規定で大統領になれないスーチー氏を事実上の国家元首に据えました。国軍側が過半を占める「国防治安評議会」も開かなかった。

 また、外国資本が次々と入り活気づきましたが、NLDは政権運営の経験がなく、非効率も多かった。国軍は制裁下でも国を統治してきた自負があり、自分たちの方がうまく運営できると思った。

 ミンアウンフライン氏は、決して軍事政権に戻したいわけではありません。民主政権として国際的に認められたい。だからこそ総選挙で不正があったとし、再選挙を経て大統領就任、というシナリオを描いたのだと思います。

 同氏は会うたびに「民主制と経済改革が不可逆的に浸透したところまで見届けたら、憲法改正はあり得ると国軍も考えている」と話していました。しかし、本当に国軍が政治から完全に手を引くか。残念ながら、その覚悟があるようには見えません。国軍の国家運営が破綻(はたん)しない限り、ミャンマーの真の民主化はないように思われます。

記事の中盤では、インドネシア元外相のマルティ・ナタレガワさんが、ミャンマー問題に解決を見いだせないASEAN内部の問題を指摘します。後半では、国連人権特別報告者のトーマス・アンドリュースさんが、国軍に対して国際社会が一致した経済制裁を加える必要性を説きます。

 これまで日本は、ミャンマー

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