上皇さまが名付けたハゼ2種 由来はまだらと染みでも…

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小坪遊

 宮内庁は6月、上皇さまが同庁上皇職生物学研究所の職員と共著で書かれた論文(https://doi.org/10.1007/s10228-021-00817-2別ウインドウで開きます)が、日本魚類学会の英文誌オンライン版に掲載された、と発表した。ハゼの研究者として知られる上皇さまの前回の論文は2019年の4月25日発行。同年5月に天皇を退位する直前だから、上皇として出される初めての論文となる。

 論文では、40種程度を含む、オキナワハゼ属というグループの2種を新たに発表した。世界中で通じる科学的な名前である学名は「属名+種小名(しゅしょうめい)」で表す。2種の場合、属名はCallogobiusで、種小名はそれぞれ、albipunctatusと、dorsomaculatusと付けられた。

 論文には種小名について、前者はラテン語で「白」と「まだら」などを意味する言葉が、後者は「背部」と「染み」や「おでき」を意味する言葉が由来とあった。

 ただ、生き物の名前には、色や形などの特徴だけでなく、遊び心や命名者の思いが感じられるものも少なくない。最近も、中国で見つかった恐竜の足跡化石に、研究者がファンだというドラえもんの主人公、のび太君にちなむ種小名が付いた。

 今回のハゼの日本語の名前、和名は、それぞれアワユキフタスジハゼとセボシフタスジハゼだ。共著者の池田祐二さんによると、両種とも、特徴的な色彩から付けられたという。

 アワユキは「淡雪」。ひれと体に小さな白い点がたくさんあり、淡い雪が降っているように見えることによる。セボシは「背星」だ。第1背びれに黒色の斑があることからだという。ラテン語の「まだら」や「おでき」よりは、生物への愛情のようなものが感じられて、味わい深い名前だと思う。

 生き物取材の現場では、こうした上皇さまのエピソードに出合うことがある。

 記者が以前聞いたのは、上皇…

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