500万円と別に1300万円 吉川元農水相受領認める
農林水産大臣時代に鶏卵業者から受け取った500万円は賄賂ではなく、政治活動への応援だ――。鶏卵汚職事件で収賄罪に問われた元農水相・吉川貴盛被告(70)は3日の初公判で、500万円のほかにも大臣在任中以外に計1300万円を受領したことをあえて打ち明けつつ、賄賂性のみを否定して無罪を訴えた。ただ、政治献金であれば必要となる政治資金収支報告書への記載はない。「やましい金だから」とみる検察側との攻防が始まった。
政治資金収支報告書への不記載、「最大の不徳」
「(業者から提供された)現金はあくまで政治献金の趣旨だと受け止めていた。国会議員として現金を受け取り、政治資金収支報告書に記載していなかった。最大の不徳の致すところで大いに反省している」。吉川元農水相は東京地裁での公判の冒頭、用意した書面をはっきりした口調で読み上げた。
公の場に姿を見せるのは体調不良で議員辞職した昨年12月以来、約8カ月ぶりだった。
起訴状によると、吉川元農水相は2018年11月~19年8月、鶏卵大手「アキタフーズ」(広島県福山市)の前代表・秋田善祺(よしき)被告(87)=贈賄罪などで公判中=から3回で計500万円を大臣室と都内のホテルで受け取ったとされる。
検察側は冒頭陳述で、現金提供の趣旨は「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の理念に基づき国際機関が策定した飼育基準案への反対や、日本政策金融公庫から養鶏業者への融資条件の緩和をしてもらうためのもので「大臣の職務に関する賄賂」と指摘した。秋田前代表も6月にあった自身の初公判で、計500万円の現金が賄賂だったことを認めている。
これに対し弁護側は冒頭陳述で、吉川元農水相は2013年、河井克行元法相の紹介で秋田前代表と知り合い、業界の相談を受け始めたと説明。秋田前代表からは大臣になる前の15年8月から大臣退任後の20年6月まで、盆暮れや年度末に14回で計1800万円の現金を受け取っていたと明かした。
そのうえで、全ての現金は等しく政治献金であり、「(吉川元農水相の)政治家としての理念や識見に信頼を寄せる秋田氏が自らの利益にかなう政治活動を期待するという趣旨だった」と主張。大臣時代の分だけが具体的な便宜を期待された賄賂でないと繰り返した。
弁護側は、検察側が現金の見…
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