半導体産業の凋落、日本経済の映し鏡 日はまた昇るのか

有料会員記事

編集委員・吉岡桂子福田直之
[PR]

 世界の頂点を極めたこともある日本の半導体産業の弱体化が著しい。経済産業省の戦略検討会議で座長を務めた、東京エレクトロン元社長の東哲郎さんに聞いた。日はまた昇るのか。(編集委員・吉岡桂子福田直之

 日本がバブル景気にわいた1980年代、隆盛を誇った半導体産業。世界市場の半分を占めたこともあり、米国から激烈な貿易摩擦のターゲットにもされた。今は昔の物語。生産技術は台湾、韓国、米国に大きく引き離されている。

 いっぽう、デジタル化で、半導体が社会生活から安全保障までに関連する戦略物資となった。欧米中韓とも「兆円規模」の支援をつぎ込む方針だ。日本政府も「半導体・デジタル産業戦略検討会議」(経産省)を今春、開いた。

 その座長を務めたのが、東さんである。

ひがし・てつろう 1949年、東京都生まれ。77年東京都立大学大学院修了後、東京エレクトロン研究所(現東京エレクトロン)に入る。米シリコンバレー駐在を皮切りに国際的な人脈を築き、46歳で社長に。会長、相談役を経て、2019年に会社の役職から退く。同社を日本最大、世界トップ級の半導体装置メーカーに育てた。産学官横断の研究拠点TIA運営最高会議議長。

 「半導体が弱くなれば、日本の経済そのものがだめになってしまうという危機感を、官民で共有できました。これまでは国家どうしの問題と経済活動は分離され、自由貿易が主流でした。米中による技術覇権の攻防が激しくなった現在、国家と経済が重なる時代になってきた」

 強化する焦点は「ロジック半導体」と言う。半導体市場の主役で、データ処理を担い、演算などに使われる。

 半導体は、回路の幅が狭いほど多くの材料を詰め込め、性能が上がる。日本のロジック半導体の最先端は、回路幅40ナノメートル(1ナノメートル=1ミリの100万分の1)。先頭を走る台湾の台湾積体電路製造(TSMC)の5ナノはおろか、中国企業の14ナノにも及ばない。

 「日本が最先端の製造プロセ…

この記事は有料会員記事です。残り1456文字有料会員になると続きをお読みいただけます。