入江聖奈「トノサマガエルになれた」 たゆまぬ日頃の鍛錬、金に結実

ボクシング

波戸健一
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 ボクシング女子フェザー級決勝で、入江聖奈がはっきりと覚えているのは、第1ラウンド(R)で相手にジャブを当てたところまで。そこからは、無我夢中だった。

 第2Rを終えた時点で、ジャッジ5人の採点はほぼ互角。ボクサーの本能で、接戦に闘志があふれた。「もう、行くしかない」。そう決意したことだけは、うっすらと覚えている。

 相手のネストイ・ペテシオは、2019年の世界選手権王者。実力者相手にも「強気だけを意識」と勇気を持って踏み込み、効果的にパンチを浴びせた。最終R、残り1分の打ち合い。ガードを固めて距離を詰める相手を、左ジャブ、右ストレートのコンビネーションで打ち抜いた。最後はジャッジ5人がいずれも入江を優勢と判定。金メダルを自らの手でたぐり寄せた。

 「気がついたら表彰台だった」と言うほどがむしゃらだった大一番での戦い。それでも自分の強みを発揮できたのは、たゆまぬ日頃の鍛錬があったからだ。

 「練習した分だけパンチは当たる」が信条。特に攻撃の軸となる左ジャブは、男子選手の動画を見て研究したり、重い袋を持って手首を鍛えたりしてきた。この日も鋭いジャブで攻撃のリズムをつかんだ。

 日本勢が五輪のボクシングで金メダルを獲得するのは、1964年東京五輪の桜井孝雄、2012年ロンドン五輪村田諒太に続き男女を通じて史上3人目の快挙だ。「将来はカエルに関係する仕事に就きたい」と言うほど、カエルを愛する20歳。勢いよくリングから飛び出し、声を弾ませた。「今日だけは、トノサマガエルになれた」(波戸健一)