270年の努力報われた「むしろこうじ」 しょうゆ醸造

紙谷あかり
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 国の文化審議会が先月、無形民俗文化財への登録を答申した「讃岐の醬油(しょうゆ)醸造技術」。伝統的なこうじ造り「むしろ麴(こうじ)」の継承などが評価された。香川県東かがわ市引田のしょうゆ醸造会社「かめびし」(1753年創業)は、江戸時代から伝わる「むしろ麴」を国内で唯一守り続けている。18代目の岡田佳織社長(53)は、「約270年頑張ってきたことが報われた。これを機にむしろ麴の価値を知ってもらい、認知度があがれば」と期待する。

 「むしろ麴」は、気温が低くなった10月ごろから作業が始まる。わらを編んで作った1畳分の大きさのむしろの上に、蒸した大豆と、煎った小麦にこうじ菌を混ぜたものを広げて均一にならす。

 かめびしでは、むしろ168枚を使い、3日3晩、泊まり込みで温度調節をしてこうじを育てる。むしろが適度な湿度を保ち、酵素の力が増してうまみが出る。

 その後、築200年を超える蔵で仕込み、もろみを熟成させる。蔵にいる約230種類もの酵母菌の働きが独特の風味を生むという。熟成させる期間は短いものだと1年半、長いものだと20年以上だ。

 近年は温暖化の影響により、こうじを仕込む期間が短くなっているといい、岡田さんは「(こうじ作りは)自然との協働。続けていくことの難しさを感じる」。むしろの作り手も減っており、自分たちでむしろ作りをすることも検討している。今回の答申を受け、「なくしてはならないものという評価をされたと思っている。なんとか継続し次の世代につなげていきたい」と話した。(紙谷あかり)