90歳が油絵で伝える空襲のリアル 燃える天守閣と人々

空襲1945

菅野みゆき
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 76年前の岡山空襲を伝える約260点の資料を集めた「岡山戦災の記録と写真展」が、岡山シティミュージアム(岡山市北区)で開かれている。メイン展示の一つは、当時14歳で空襲を体験した男性の油絵。「記憶を形にして、戦争の怖さを伝えたい」と2019年にキャンバスに向かい、仕上げた3枚だ。

 男性は東京都の窪田裕一さん(90)。現在の岡山市北区丸の内周辺に家族4人で住んでいた。1945年6月29日未明、目覚めてすぐにリュックを背負い、祖母を自転車に乗せて岡山城の方向へ避難した。

 降ってきた焼夷(しょうい)弾の夕立のような音。岡山城の石垣に張り付くように逃げ、静まりかえる人々。焼け落ちる岡山城天守閣……。趣味の油絵を長年続けるなか、「空襲のさなかを記録した資料が少ない」と気になっていた。70年以上たって初めて油絵に描いたのは、戦争のリアルさを伝えたいと思ったからだ。

 会場では、漫画家だった南義郎が42年2月、真備町(現・倉敷市真備町)出身の教え子に送った「銃後漫画通信」も初公開されている。灯火管制下の暮らしや、バケツリレーなどを軽妙な筆遣いで絵に描いた手紙だ。教え子はすでに戦死していたが、南は知らずに送っていたという。真備町の遺族が保管していたが西日本豪雨で水につかり、昨年、ミュージアムに調査のため預けた。今春、正式に寄贈された。

 木村崇史学芸員(40)は「体験者の頭にある情景は絵か文章で表現するしかない。そんな『記憶』を記録で補い、戦争の実情を語り継いでいきたい」と話す。

 企画展は今年で44回目。同ミュージアムが新型コロナワクチンの集団接種会場となったため、例年より約1カ月遅い開催期間となった。入場無料。15日まで。10日は休館。問い合わせはミュージアム岡山空襲展示室(086・253・7070)。(菅野みゆき)

空襲1945

空襲1945

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