男よ、妊娠出産をもっと語ろう 本音交わしてみたら…
妊娠や出産について、異性と話したことはありますか。女と男の生々しい本音が飛び交う異色の舞台「丘の上、ねむのき産婦人科」が上演される。作・演出の谷賢一は男社会を変える旗手? 本人は「そんな殊勝な人間ではない」と謙遜するが……。
記事後半では、演劇界の労働問題などについても語っています。
バランス感覚が必要だが
――着想のきっかけは。
僕も2人子どもができまして、何度も産婦人科に行くようになったんです。ロビーが特殊な空間で。すごく重たいことを抱えている人もいれば、気軽に来てる人、いろんな人がいて、同じ妊娠出産といえども、抱えている人生とか、立ち向かってる問題とかが全く違うってことが、ずっと気になってたんですね。
ここ1、2年、女性差別やジェンダーフリーみたいなことに関して世間の関心が高まってきていることもひしひし感じており。けど「オレ女じゃないからね」と、ジェンダーロールを気にしすぎるが故に分断されている現状があるなあと思っていたんです。お芝居って、他者の気持ちを想像してなりきるところがあるから、演劇で自分のパートナーとか異なる性が何を考えているのか想像してみるのは、実りある作業なんではないかと。
――事前に多くのインタビューをされたとか。
妻とか家族、身近な人に聞き、インターネットで募集したらあっという間に十数名来たので、二、三十人から聞き取りました。ほぼ女性ですね。
――何を語りましたか。
やっぱ苦労話が多かったですね。「自分が正しく扱われてない感じがする」とか、「世間や家族友人の反応はおかしい、きつい」みたいな、不公正を是正したい声が。20人以上話を聞く中でも、一人一人問題の根っこは違うんだなあということがよくわかる。そうすると、このシチュエーションは特殊だから仕方がない、と見過ごされてるケースにはまっちゃった人が、「いやいや私の場合は」って熱弁してくれることは多かったですね。
――驚いた話は…