ネットゲームは「アヘン」 中国、テンセントに包囲網

北京=西山明宏
[PR]

 中国政府がIT大手テンセントへの圧力を強めている。主力のゲーム事業への包囲網を敷き始めているほか、メッセージアプリのウィーチャットなど他の事業にも影響が出ている。ネット通販大手アリババ集団や配車アプリ大手滴滴出行(ディディチューシン)に続き、ネット企業への締め付けの一環とみられる。

 「『精神的アヘン』がこともあろうか数千億元(1元は約17円)規模の産業に成長」。国営新華社通信系の経済参考報が3日、こんな見出しの記事を出した。「精神的アヘン」とは、ネットゲームのこと。他にも「電子麻薬」とも表現し、ゲームが未成年の健康的な成長に影響を与えるとして痛烈に批判した。業界トップのテンセントのゲームタイトルを一例に挙げたことで、中国国内で注目を集めた。

 中国メディアによると、その後記事の表現は修正された。だが、テンセントへの圧力が強まるシグナルだとして、同社の株価は3日の香港市場で一時10%超下落した。テンセントにとって、ゲーム事業は今年1~3月期の売上高で3割超を占める。テンセントは同日、未成年がネットゲームを遊ぶ時間を制限したり、12歳未満は課金できないようにしたりすると発表。今後業界全体で12歳未満はネットゲームを禁じる対策の導入を呼びかけるなど、対応に追われた。

 テンセントへの圧力はゲームだけではない。国家市場監督管理総局は先月24日、テンセントが5年前に音楽配信会社を買収し、市場の8割を握ったことが競争の阻害につながったと認定。独占禁止法違反に当たるとして罰金を科した。また、工業情報化省がネット業界の様々な問題を修正する活動を始めると発表した翌日の先月27日、テンセントはセキュリティーのアップデートのためとして、8月初旬までウィーチャットの新規アカウント登録を停止すると発表した。

 中国政府は4月、アリババに独禁法違反で巨額の罰金を科したほか、米国での上場を巡って滴滴を審査しているなど、巨大化したネット企業への規制を強化している。次の対象をテンセントに定めた可能性がある。(北京=西山明宏)