死のカウントダウンは30秒 食虫植物ハエトリソウの技

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石倉徹也
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 おびき寄せた昆虫を捕まえ、溶かして栄養にしてしまう――。植物には、鮮やかな色や香りで癒やしを与えてくれる花もあれば、ワナで虫を捕らえるハンターのような食虫植物もいる。東京・上野の国立科学博物館(科博)で開かれている特別展「植物 地球を支える仲間たち」では、恐ろしく、したたかな植物たちも展示されている。石倉徹也

 食虫植物の代表格は、2枚の葉で虫を閉じ込めてしまうハエトリソウだろう。

トゲに2回接触→葉が閉じて一巻の終わり

 北米大陸に生息。葉の内側に感覚毛と呼ばれる6本のトゲがあり、ダンゴムシなどが30秒以内に2回触れると0・3秒の速さで葉を閉じる。その後、消化液を分泌して虫をゆっくりと溶かし、殻だけを残して養分を吸い尽くしてしまう。

 1度触れただけでは何も起こらず、2度目で初めて閉じるのがミソだ。葉を閉じるエネルギーは大きく、一つの葉は3~4回閉じると枯れてしまう。雨やゴミの刺激で誤って閉じるのを防ぎ、虫が来た時に確実に捕らえられる最適解が「30秒以内に2回」だったとみられる。

 だが、脳も神経もないハエトリソウが、どうやって30秒間をカウントしているのか。約150年前、進化論を発表したダーウィンをも魅了した巧妙なワナのなぞは、昨年、基礎生物学研究所愛知県岡崎市)の実験で解明された。

 実験では、トゲが刺激を受けると、葉の細胞内でカルシウムイオンの濃度が一気に増えた。濃度がさらに高まって限界値を超えると葉が閉じるが、1回目ではそこまで高くならない。その後、濃度は徐々に減っていき、追加の刺激がないまま30秒を過ぎると、新たな刺激があっても限界値を超えなくなった。長谷部光泰(みつやす)教授(植物進化学)は「虫なら動き回るため2回目がある。空振りを防ぐ時間の記憶法を独自に獲得したのだろう」と舌を巻く。

■滑り落ちる虫やネズミの糞尿…

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