エネルギー基本計画案を了承 原発の将来像先送り

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長崎潤一郎、川田俊男
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運転開始から40年を超え6月に再稼働した関西電力美浜原発3号機
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 経済産業省は新たなエネルギー基本計画案を4日に示した。原発の建て替え(リプレース)や新増設は明記せず、「必要な規模を持続的に活用していく」とした。原発の将来像をめぐる判断は先送りし、小型炉など次世代技術の研究開発を進める。計画案は意見公募をへて、10月までの閣議決定をめざす。

 計画案は先月21日に示した素案から大きな変更はなく、経産省の有識者会議でおおむね了承された。2030年度の電源構成は再生可能エネルギーの比率をいまの計画の22~24%から36~38%に引き上げる。原発は20~22%で維持する。

 経産省は脱炭素の動きを追い風とみて、原発を建て替える必要性の明記を検討していた。秋にも衆院選を控え、世論の反発を懸念する首相官邸の意向もあって見送った。東京電力柏崎刈羽原発新潟県)でテロ対策の不備が発覚するなど国民の不信感は根強い。経産省幹部は「原発の信頼回復が先ということだ」と話す。

 首相官邸の関係者は「地元自治体の理解を得て建設を始めても30年度には間に合わない。原発の位置づけを変える必要はない」と漏らす。

 新たな計画案では、東京電力福島第一原発事故後の14年と18年に改定された計画で盛り込まれた「可能な限り原発依存度を低減する」との表現を維持した。「実用段階にある脱炭素電源」だとして重視する姿勢は変えていない。

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エネルギー基本計画案を議論する有識者会議であいさつする梶山弘志経済産業相=2021年8月4日、東京都千代田区

 原発の運転期間は原則40年とされ、1回に限り最長20年延長できる。仮に国内の全36基の運転延長を認めても、50年には23基、60年には8基まで減る。経産省は、原発を今後も使い続けるのであれば、いずれは建て替えが必要になるとの立場だ。小型モジュール炉など、新しい原子炉の開発を進めることも計画案に盛り込んだ。将来的な建て替えの余地は残しており、この日の会議では委員から「今後、真正面の議論が避けられない」との意見が出た。

 計画案が固まったことを受け、温室効果ガスの削減に向けた新たな「地球温暖化対策計画」の案も、環境省経産省の専門家会合でこの日まとまった。菅政権が4月に掲げた「30年度に13年度比46%削減」の目標に向け、産業部門の削減率を従来の7%から37%、家庭部門も同39%から66%に引き上げる。(長崎潤一郎、川田俊男)

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太平洋沿岸にある太陽光と風力の発電所=福島県南相馬市

地球温暖化対策計画案もまと…

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