手にしたとっておきはファイナルで 四十住さくら「全部、予定通り」

スケートボード

加藤秀彬、照屋健
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 この1年、磨き続けた大技を決勝で解き放った。

 四十住(よそずみ)さくらが勝負を託したのは、横1回転半する「540」。女子では世界トップの数人しかできない。

 4位で通過した予選では見せなかった。決勝のラン3回のうちの1回目、その「とっておき」で勝負に出た。

 45秒の演技時間のうち、終盤に「540」を連続して成功。着地した瞬間、両手を突き上げた。

 この日、全選手通じて唯一の60点台。1本で勝負を決めた。

 13歳のスカイ・ブラウン(英)、15歳の岡本碧優(みすぐ)は、予選からこの技で高得点を稼いだ。日本の3選手で最年長、19歳の四十住はあえて温存した。

 「やっぱり、ファイナルで見せたかったので。予選は4位くらいで、と思っていた。全部、予定通り」

 1位で予選を通過すると、決勝は最終滑走者になる。ほかの選手の演技を見て、プレッシャーを感じながら滑るのは避けたい、という狙いもあった。

 「得意なトリックじゃない」という。けれど、「これで勝負しようと思った」理由がある。

 新型コロナウイルスで大会延期が決まる前、この技を完璧にできるのはトップ選手では岡本くらいしかいなかった。高く飛ぶ必要があるため、スピードも勇気も必要だ。「最初の1カ月は着地が怖くて、コンクリートではできなかった」

 昨秋、地元の酒造会社の倉庫を利用した練習場「さくらパーク」ができた。そこで、1日10時間近くかけて練習し、今年5月の試合でものにした。1年前だったらできなかった、自分のために作ってくれた場で身につけた技で勝ちきった。

 自らの名にちなんで、髪を桜色に染めて臨んだ今大会。ほかの選手を笑顔でハグし続け、心の底からスケボーを楽しんだ。「まだ、夢で滑っているみたい」。表彰台の真ん中で、満開のさくらを咲かせた。加藤秀彬、照屋健)