超能力者は「優位」、赤ちゃんが認識 阪大院などが実験

清野貴幸
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 生後間もない赤ちゃんが、空中浮遊など超自然的な能力(超能力)を示すとみなされる人物を社会的に優位な立場にあると認識していることが、大阪大大学院や高知工科大などの研究グループの実験で分かった。超能力を持つとみなされた人物が宗教集団で権威を得るなど、人間の心理的基盤を理解する上で役立つことが期待されるという。

 研究グループには大阪大大学院の孟憲巍(もうけんい)・助教、高知工科大の中分遥(なかわけよう)助教(心理学)、九州大の橋弥(はしや)和秀教授(発達心理学)が参加。英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。

 実験は、生後12~16カ月の乳幼児96人を対象に、「期待違反法」と呼ばれる手法で実施した。人を含めた多くの動物は予測と反する事象に遭遇すれば驚き、その事象を長く注視する(見飽きるまでの時間が長くなる)という性質を利用した実験方法という。

 赤ちゃんには、異なる能力を備えるアニメーションのキャラクターを対戦させる四つの動画を見せた。物の獲得によって勝敗を認識させる動画で、空中浮遊能力を持つ青のキャラが、能力を持たない赤のキャラに負けた場合、赤ちゃんは青が勝った場合より長く画面を見ていた。また、瞬間移動能力を持つ青のキャラが、持たない赤のキャラに負けた場合も同じだった。

 超能力を持つキャラが勝つという赤ちゃんの期待が裏切られた結果と解釈できるという。従来の研究により、キャラAがキャラBより優先的に物を獲得すると期待する時、「AがBより社会的優位にある」と乳児が理解していると推測できるという。

 一方で、青のキャラが橋を渡ったり、壁の向こう側に消えたりして「能力」に驚きを感じにくい動画では注視する時間に違いがなかった。

 孟助教は「人間は超自然性に対する認識を発達の初期から普遍的に備えている可能性がある。優位性関係の概念が既に芽生えているなど、赤ちゃんは大人が思っているより『社会的』だ」と語る。

 中分助教によると、社会学や人類学で超自然的な力の誇示が社会的権力の源泉となることは古くから議論されているという。「合理的な思考が普及した現在でも、そうした力を持つと自称する人物が一定の支持を獲得する現象を理解するのに役立つかもしれない」と話している。(清野貴幸)