山田哲人、2年前の韓国戦は歯がゆかった この日迷いなく振った初球

野球

井上翔太
[PR]

 四球の後の初球――。積極的にバットを振りやすい状況で、迷いはなかった。

 八回2死満塁。日本の甲斐拓也が歩いた後、山田哲人は「1球目から打つことを決めていた。前の打席はチャンスで三振。悔しくて、やり返したかった」。

 150キロを一振り。打球は左中間フェンスの最上部を直撃し、三塁ベンチの選手が次々と喜びを爆発させて飛び出す中、3者が生還した。山田は満面の笑みで、二塁上で右拳を突き上げた。「めちゃめちゃ緊張していた」

 「山田哲人、韓国戦」

 この二つの言葉に触れると、あの光景を思い起こす野球ファンもいるだろう。

 2019年秋の国際大会「プレミア12」。東京ドームで行われた決勝の韓国戦で、二回に逆転の3点本塁打を放った。トップチームとしては10年ぶりに世界一をつかんだが、本人には、歯がゆさが残った。

 「調子が良くなくて、チームに迷惑をかけた。苦しかった」

 当時の1番打者は山田のほか、坂本勇人丸佳浩も務め、固定できなかった。ただ、あれから2年弱が経ち「また新たな気持ちで臨んでいる」。全4試合で1番に座り、この日は犠打あり、先頭での出塁あり。役割を十分に果たしている。

 野球が前回、五輪で行われた2008年北京大会で金メダルをつかんだのは、韓国だった。日本が準決勝で敗れた相手でもある。そのときに選手として出場していた稲葉篤紀監督は「オリンピックの借りは、オリンピックで返す」と宣言し、今大会を迎えている。悲願をかなえるまで、あと1勝。井上翔太