香港、宗教にじわり圧力 国安法恐れ神父が「自己検閲」

有料会員記事香港問題

香港=奥寺淳、台北=石田耕一郎
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 反体制的な動きを封じ込める香港国家安全維持法国安法)が、信教の自由にじわりと影響を及ぼしている。キリスト教の神父らが説教の内容を「自己検閲」し、信者からも教会の忖度(そんたく)を懸念する声が出る。ただ、中国を巡る政治的な思惑もあり、教会は一枚岩になっていない。(香港=奥寺淳、台北=石田耕一郎)

政治の話を避け、民主化関連の本は自宅へ

 1日、香港のあるカトリック教会が開いたミサ。百数十人の信者らに対する神父の説教は、東京五輪の話題から始まった。「香港代表の選手が金メダルを獲得しました。コロナ禍での開催に矛盾を感じる人もいると思いますが、世界の調和と希望を祈ります」

 神父はこれまでも説教の際に身の回りの話題に触れてきた。だが、この1年は内容を「自己検閲」して政治的な話を避けるようになったと明かす。香港政府国安法違反の疑いがある言動について通報窓口を設けており、神父は「社会のあらゆる問題が政治化され、人々が対立している。信者と教会を守るためにはやむを得ない」と語る。

 香港のキリスト教系学校に併設されたチャペルで宣教師を務める40代の男性も2月以降、説教で政治の話を控えるようになった。同僚のいる事務所でも政治絡みの話を避け、民主化デモを支持する内容の書籍は自宅に持ち帰った。

 きっかけは、香港政府の教育局が2月4日に香港にあるすべての小中高校や幼稚園に出した通知だった。国安法を受け、教育施設での秩序を維持するとともに、子どもを順法精神のある市民にすることをうたった指導要綱だ。校長らに対し、子どもに国安法の内容を教えることを要求するとともに、学校での政治活動を防ぎ、施設を「適正に使用」するよう求めていた。

 男性は学校幹部から「今後は言動を自己検閲して欲しい」と指示された。学校側は教会職員の雇用やチャペルを使用させるかの権限を持つ。男性は過去の反政府デモでデモ参加者らを支援しており、「国安法に違反したらチャペルは貸さないという警告だ」と受け止めた。別の学校に併設されたチャペルの牧師には、学校側から説教の内容を事前提出させられ、検閲を受ける例も出ているという。

 香港では英国による統治の歴…

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