好投手がそろい踏み 高校野球東東京大会を振り返る

御船紗子
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 東東京大会は、第2シードの二松学舎大付が、春の都大会覇者で第1シードの関東第一を5―1で破って優勝し、幕を閉じた。2年ぶりに甲子園をめざせたこの夏、多くのチームが大会への強い思いを見せ、全力プレーを繰り広げた。

 二松学舎大付は5回戦までの3試合を無失点で勝ち進み、守りから試合の流れをつかんだ。大会を通じて失点はわずか4。立役者はエースの秋山だ。2年生布施とのダブル左腕で全試合を投げ抜いた。守備も光り、準決勝では、5試合で27盗塁を成功させた帝京に対して隙を見せず、足を使わせなかった。決勝は秋山が完投。効果的にフライを打たせ、チーム打率4割超の関東第一打線を3安打に抑えた。

 関東第一は春の都大会を制し関東大会準優勝。優勝候補として大会を迎えた。エース市川は140キロ台後半の速球を誇り、準決勝では152キロを計測。染谷や津原ら強打者もそろい、4試合をコールド勝ちした。しかし決勝、市川は秋山との投げ合いを意識しすぎたのか、得意の直球を避け、変化球を多用し打たれた。秋山の気迫に押され、チーム全体に焦りが広がって自滅したように見えた。

 この2校の両エースを始め、今大会は好投手がそろい踏みだった。

 修徳の床枝は度胸のある投球で要所を締め、5回戦でシード校の日大豊山を破り、4強まで進んだ。日大豊山も、140キロ中盤の直球で内角を攻める玉井を筆頭に足立、荒木、好救援で支える森の「4枚看板」が存在感を放った。紅葉川は山崎を軸に無失点で4回戦へ勝ち進んだ。

 逆境をバネに戦ったチームもある。初めて8強入りした芝は、外野スペースを取れない狭いグラウンドで練習を重ね、手堅い守備を身につけた。1、2年生10人の八丈は、コロナ禍で出場を辞退せざるを得なかった昨年を挟み、この夏の初戦が練習試合も含めたチームの初試合。実力校・城東相手に七回まで粘った。

 選手たちが、負けても「楽しかった」と口にする場面に何度も出会った。悔し涙を流しながら、試合をできたことに感謝する選手もいた。コロナ禍の中、対策をとりながらの大会。選手権大会が中止となった昨夏を知るからこそ、試合を楽しもうとする選手が多かったのかもしれない。

 逆境を知る彼らなら、高校野球のその先も、たくましく歩んでいけるはずだ。御船紗子