第1回夕食後、教授に突然抱きつかれた女性研究者…終わらないハラスメント

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藤波優
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 大学で働く女性研究者は数年前、海外で開かれた学会に男性教授と2人で出席した。旧知の研究者に会えるし、新しいデータを発表できる。前から楽しみにしていた学会だった。

 教授に夕食に誘われたのも、自然な流れだった。それまでも教授と2人で食事に行ったことがあり、この学会には同じ研究室から2人しか参加していない。教授はいつものように、ご機嫌にお酒を飲んでいた。

 女性はお酒が苦手だったが、「教授が目の前でこんなに気分よく飲んでいるのに断れないな」と仕方なく、頭痛を我慢しながらつきあった。

 食事を終え、レストランからホテルまで歩いて帰る途中のことだった。薄暗く、人気のない場所で突然、横を並んで歩いていたはずの教授が正面から抱きついてきた。

 「これは、まずい」

 信頼していた教授からの、予想外の行動に困惑した。無言で両手をバタバタさせ、ようやくほどいてもらった。この間、10~20秒ほど。教授はすぐに、何事もなかったように歩き始めた。女性はむっとしながら、後を追った。

 「教授は、私の気持ちなんてちっとも気にしていないんだ」。見くびられているような、情けない気持ちになった。もう、これ以上何も起きないでくれと祈りながら、ホテルの部屋に戻ることだけを考えた。

 「私は圧倒的に弱い立場なので、何も言えずに我慢してしまいました」

 女性の任期は定期的に契約更新があるため、身分が不安定だ。それに研究者の評価において、もっとも重要といえる論文が出版できるかどうかも教授次第。教授に将来を握られているから逆らえない。

 学会中はその後も、たびたび食事に誘われた。

 ある晩、何げない会話の中で突然、「君は僕のスイートエンジェル」と言われた。

 耳を疑った。普通、こんな言葉は夫婦か恋人間でしか言わないだろう。みんなから尊敬されるような教授が、こんな変なことを言うはずがない。お酒のせいかな……。気持ち悪いと思ったが、適当にうけ流した。

 だが、それで終わりではなかった。

次の論文は、そして来年の契約は……。指導教授からのセクハラが続くなか、女性はさらに追い込まれていきます。

 出張中に長時間、車で移動す…

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