今年最大級の注目新譜 ビリー・アイリッシュが語る葛藤

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定塚遼
写真・図版
ビリー・アイリッシュ「ハピアー・ザン・エヴァー」=ユニバーサルミュージック提供
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 21世紀に生まれた17歳がリリースした、たった一枚のデビューアルバムは、世界の音楽シーンに革命的ともいえる衝撃をもたらした。昨年、グラミー賞の主要4部門を独占し、一躍音楽シーンのみならずポップカルチャーの顔となった米シンガー・ソングライター、ビリー・アイリッシュだ。そんなビリーが7月30日に発売したセカンドアルバム「Happier Than Ever(ハピアー・ザン・エヴァー)」は今年最大級の注目作となっている。

 「かつてない幸福感」。そんなタイトルとは裏腹に、その詞作では、ひとたび触れれば壊れてしまいそうな、繊細で危うさを抱えた内面の葛藤や混乱を吐露し、ときに周囲や社会にもその研ぎ澄まされた刃を向け、さらにそんな自分をもなだめようともする。

 「トラウマもある したくないことをして 怖くて打ち明けられなかった」という詞を持つゲッティング・オールダーで作品は幕を開ける。

「私が痩せてて、弱くて、優しくて、背が高ければいいの?」

 音楽ライターの松永尚久さんは「これまでのヒットチャートにおけるポップスのフォーマットは、サビで盛り上げるというものだった。だが、ビリーのサウンドは平坦(へいたん)で、ずっとダークなところをさまよったまま終わるという意味で斬新。今作は彼女自身も語るように救いのある曲があまりないが、非常に完成度の高い作品になっている」と話す。さらに、「スターになって彼女を取り巻く環境が変わったことで、新たな苦しみが生まれ、それが詞にも反映されている」とも分析する。象徴的なのは、「ノット・マイ・レスポンシビリティ」だ。

 一挙手一投足がメディアやパ…

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