「長女」の石川佳純、集大成の銀 平野早矢香、福原愛の後を継ぎ

卓球

吉永岳央
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 3度目の五輪を、山口市出身の石川佳純は初めて、卓球女子団体のキャプテンとして戦った。

 覚悟が透けて見えた瞬間がある。7月28日のシングルス準々決勝で敗退した夜の取材エリア。個人のメダルを狙っていただけに、涙がにじんだ。それでもすぐに「キャプテンとして、しっかり気持ちを切り替える」。震える声で、決然と責任感を口にした。

 2020年1月、代表メンバー決定と同時にキャプテンを任された。「石川の姿を見て、残り2人はついていってほしい」とは馬場監督だ。経験値と実績から他の選択肢はなかったという。

 背中から学んだ先輩たちがいる。平野早矢香福原愛。石川は「同じチームにいるだけで心強くて、何だか勝てそうな気がした。団体を戦う上ではすごく大事」と語る。

 19歳で初めて挑んだロンドン五輪で団体銀。「3人娘」として喝采を浴びた時のキャプテンが、平野だ。闘争心あふれるプレーでチームを鼓舞する先輩の下、石川はチーム最年少の「三女」だった。

 2度目のリオデジャネイロ五輪のキャプテンは福原。誕生日に特大ケーキをサプライズで用意するなど、気配りの人だった。23歳になった石川はチームの「次女」で、エースとして銅メダルを呼び込んだ。

 そして今回、年下の伊藤美誠平野美宇と臨んだ。石川は「最年長となった今、先輩から学んだものをつないでいきたいと思います」。

 合宿中にテレビなどを見ながら、たわいもない会話を積み上げた。「そういうコミュニケーションで、やっぱりチームワークってどんどん上がっていくと思う」

 ただ、日本女子のレベルはかつてと比べものにならないほど上がった。力強い「個」がそろっているから、「2人ともプロフェッショナルなので、特に私から何か言うことはないのかな。それぞれの持ち味がある」と控えめに話したこともある。

 だが、平野は言う。「石川さんと一緒に戦えているのが、心強い。大事な場面で声をかけてくれるから、思い切ったプレーができている」。伊藤は「個々の勝ちがあるからこそ、チームの勝ちがある」と言いながら、「石川さんは、やれることがすごく多い選手。対応力がすごい。自分も負けじと頑張ることでレベルが上がる」。

 惜しくも銀メダル。試合後、28歳の石川は語った。「本当に心強い2人でチームワークもすごく良かった。五輪前の合宿から最高の雰囲気で出来たので、2人には感謝しかない」。涙ぐみながら、妹たちをねぎらった。吉永岳央