国の未来が刑務所に…トルコ軍反乱、息子は巻き込まれた

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イスタンブール=高野裕介
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 トルコで5年前、軍の一部が起こしたクーデター未遂事件で、関与を疑われて終身刑を受けた人々の中には10代の軍士官学校の学生もいた。「無実に違いない」と信じる母親たちは、我が子の釈放を待ちわびている。(イスタンブール=高野裕介)

空軍士官学校生だった19歳

 首都アンカラのショッピングモール。6月中旬、待ち合わせに現れた女性は頭にスカーフをかぶり、トルコのどこにでもいる「普通のお母さん」に見えた。

 「息子は3歳の頃からパイロットになるのが夢でした。『いつかお母さんは僕の名前を誇れるよ』って」。主婦のエミネ・ウヤヌクさん(47)はそう言って、息子への思いをとつとつと語り始めた。

トルコ・クーデター未遂事件

2016年7月15日夜、軍の一部が政権転覆を狙って軍事行動に出たが、16日に政権軍が鎮圧した。街頭に出た市民と反乱勢力が衝突。250人以上が死亡、2千人以上が負傷した。政権は、かつて協力関係にあった在米のイスラム教指導者ギュレン師が黒幕と主張し、米国に引き渡しを求めている。ギュレン師は関与を否定している。

 空軍士官学校の学生だった末っ子のユスフさん(24)はクーデターが起きた日の夜、上官の指示で駐屯地から仲間とともにバスで最大都市イスタンブールに向かった。入学から約10カ月後。当時は19歳だった。

 エミネさんによると、ユスフさんらを乗せたバスは、クーデターに抵抗する群衆に止められた。そのときに初めて、事件が起きたことを知ったユスフさんは、武器を捨ててバスの外に飛び出し、国への連帯を示そうと群衆と国歌を歌った。だが翌朝、他の学生とともに警察に連行された。上官の命令に従ったものだが、武器を持って駐屯地を離れイスタンブールに向かったことが、クーデターへの加担行為とされたとみられる。エミネさんは、まさか学生である息子が拘束されるとは想像もしなかったという。

 「僕は裏切り者じゃない」…

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