茅ケ崎で藤原大さんが初の個展

織井優佳
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 ファッションなどの商業デザインで名をはせたデザイナー、藤原大さんの初の個展「人の中にしかない自然」が、茅ケ崎市美術館(神奈川県茅ケ崎市東海岸北1丁目)で開かれている。9月5日まで。「烏帽子岩」の色彩で染めたシャツや、海岸や茅ケ崎駅前などで採取した素材を織り込んだセーターなど、湘南の風光と人の関わりを意識した内容になっている。

 藤原さんは、自然界に存在するものを出発点にした創作を続けてきた。2018年に江ノ島電鉄の依頼で車両の外装デザインを手がけた際には、線路沿いの木々などの色を独自の手法で採取する「カラーハンティング」を用いて、明るい16色のストライプに仕上げた。同じ手法で今回は、茅ケ崎のシンボル・烏帽子岩で春に見られる6色を採取。その色を様々なパターンに染めた布で「茅ケ崎シャツ」をつくった。

 その場に身を置き、そこにしかない光や風を感じ取ることから始まる創作は、必然的に「地域」を意識することになる。17年から続く連作「ゴミが糸になる/草原のセーター、都会のセーター」は、モンゴルの草原やニューヨークの地下鉄で、動物の抜け毛や草、都会の綿ぼこりやカラフルな紙くずなどを掃除機で集めて糸に紡ぎ、セーターに編んだ。作品にはそれぞれの土地での人々の振るまいが透け、「ゴミ」とは何か、という考えにいざなわれる。

 さらに今回、藤原さんは茅ケ崎の海辺や駅前などで拾い集めたものでつくった「茅ケ崎のセーター」を初公開した。織り込まれた中には浜辺に打ち上げられていた漁網などもあり、世界的な課題である海洋ゴミへも意識が向かう。

 会場では、香港で今春収録された藤原さんのロングインタビュー映像なども見られる。価値観の変換を迫るものづくりを続け、100年先の人と自然の関係性を見つめる藤原さんの思いに触れることができる。

 担当学芸員の藤川悠(はるか)さんによると、昨年開催の予定がコロナ禍で1年延期された。その間に、藤原さんは茅ケ崎のセーターを制作するなど、展示はより強く「湘南」を意識した内容に変化した。「自分と身の回りの自然の関わりに思い至り、感性をゆさぶられる機会にしてほしい」と藤川さんは言う。8月21日には藤原さんのアーティストトークも予定している。(先着40人予定)。

 一般800円、大学生600円、茅ケ崎市内在住の65歳以上400円、高校生以下無料。午前10時~午後5時(入館30分前まで)。月曜と8月10日休館(8月9日は開館)。問い合わせは同館(0467・88・1177)へ。(織井優佳)