軍がなぜヘリ遊覧ツアー ローマ遺跡、延々と続く大麻畑

有料会員記事

ベカー高原上空=伊藤喜之
【動画】レバノン軍が7月から始めたヘリコプターによる遊覧ツアーに記者が搭乗した=伊藤喜之撮影
[PR]

 経済的な苦境に直面している中東レバノンで、約8万人の兵士を抱える軍の財政も火の車に陥っている。軍が今年の夏から取り組み始めた「窮余の策」があると聞き、7月中旬にレバノン東部のラヤク空軍基地へと向かった。

 格納庫の前にとめられた米国製ヘリコプターのロビンソンR44。私と取材助手が乗り込むと、紺色の機体が飛び立った。

 パイロットの男性隊員と耳に装着したヘッドセット越しにあいさつを交わした。

 「レバノン軍にようこそ。本日はバールベックの古代遺跡の上空まで遊覧いたします」

 軍が7月1日から国内の3カ所の基地で始めたヘリの遊覧ツアーだ。

 きっかけは国家の財政難による軍予算の大幅削減だった。国防省は昨年、高騰した食肉を購入する予算がなくなり、兵士への配給食から食肉を抜いたと発表。ジョセフ・アウン軍司令官は「兵士の平均月給は米ドル換算で90ドル以下」だと告白し、軍財政への国際的な支援が必要だと訴えた。

 危機的なレバノン経済が背景にある。長年にわたる政府不信に国民の怒りが爆発した2年前の反政府デモで当時の内閣が退陣すると、一気に経済が傾いた。通貨は大暴落し、物価は世界トップ3に入るとされるほど高騰。燃料を輸入する予算がなく、国の電力供給は1日2~4時間ほどに限られ、国中が停電に苦しむ。

 離陸前に面会した空軍幹部は…

この記事は有料会員記事です。残り1447文字有料会員になると続きをお読みいただけます。