感謝の輪、ただいま拡大中 アサガオがつなぐ五輪会場と小学生

野村周平
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 東京オリンピック(五輪)の会場を彩る、小学生が育てたアサガオの鉢。選手たちを励ます子どもたちのメッセージが、一つ一つに添えられている。その言葉に励まされた大会組織委員会のスタッフが、あることを思いついた。

 バスケットボール会場のさいたまスーパーアリーナ(さいたま市)では、選手らの通路などに、アサガオ約840鉢が置かれた。「いい取り組みだね」。大会組織委員会職員で、さいたまスーパーアリーナのスタッフの配置などを担当する大橋英美さんは、海外の審判員に声をかけられた。そこでふと思いつき、7月下旬、朝のミーティングで持ちかけた。

 「私たちはアサガオに元気づけられている。感謝の気持ちを小学生に伝えられないか」

 お礼のメッセージカードを添えて鉢を返そう、という提案だった。無観客となった大会の価値を、どうすれば少しでも高められるかを考えていた現場のスタッフたちは満場一致で賛同し、すぐ、準備に取りかかった。

 ボランティア、審判団、スタッフ。関係者から様々な言語で言葉が集まった。雨風にさらされても保管できるようラミネート加工して、子どもたちのメッセージの下に添えた。手が傷つかないよう、ラミネートの四隅を丸く切る配慮も忘れなかった。

 大学1年のボランティア、福島基矢さんは「せっかくの五輪なのに、限られた人としか会えなかった。メッセージを書いて会場の外の人たちとつながれた気持ちになれた」という。さいたまスーパーアリーナはパラリンピックでは使わないため、五輪閉会翌日の8月9日には返信メッセージを添えたアサガオを小学校に返す予定だ。

 すべての会場をアサガオで彩る「フラワーレーンプロジェクト」には約300校、3万3千人の児童が参加した。海の森水上競技場(東京都江東区)でも、スタッフのメッセージがアサガオの鉢に添えられていた。子どもたちに感謝を伝える取り組みは少しずつ広がっている。(野村周平)