「パラレルワールド」なのか コロナ下の日本と東京五輪

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石田博士
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メディア空間考 石田博士(コンテンツ編成本部長補佐)

 「パラレルワールドだ」。新型コロナウイルスの新規感染者急増と、東京オリンピック(五輪)の関係を否定するために、国際オリンピック委員会(IOC)の広報担当者が使った言葉が頭から離れない。感染拡大にあえぐ日本社会と、五輪の選手、関係者は「並行世界」のように交わらない。彼が言おうとしたのは、そういうことだ。

 私が初めてオリンピック(五輪)の現地取材に携わったのは、2004年のアテネ大会だった。五輪発祥の地から連日、取材班の一員として競泳の北島康介選手、マラソンの野口みずき選手などの金メダルラッシュを伝え続けた。

 だが、その開幕4日前には、関西電力美浜原発で事故が起き、作業員5人が死亡していた。開幕前日には、米軍普天間飛行場に隣接する沖縄国際大に、米軍ヘリが墜落していた。

 五輪報道は、そんな国内外の重い現実を覆い隠したのではないか。問いが、ずっと胸に残っていた。

 あれから17年。コロナが世界にひろがり、ワクチン確保の面で先進国と途上国の溝が広がる。まったく平等でも平和でもない世界の現実がむき出しになるなかで、自国開催の五輪を迎えた。

 五輪が始まれば人々は盛り上がり、世論の風向きも変わる――。そんな見立ても報じられたが、人々の関心は実際にはどうだったか。

 一例だが、Googleトレ…

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