「投げる」より「走った」北口榛花 やり投げ大国の師に見せた成長

陸上

辻隆徳
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 日本勢として57年ぶりに決勝に臨んだ東京オリンピック(五輪)女子やり投げの北口榛花は55メートル42と記録が伸びず、12位に終わった。

 「『(助走を)速く走るんだぞ』って言われて。わかってるよって」

 3日前の予選後、文句を言いつつ、うれしそうに競技場でのやりとりを明かした。相手はダビッド・セケラックコーチだ。

 北口はフィンランドであったやり投げの講習会に参加したことをきっかけに、2019年からチェコ出身のセケラックコーチに師事した。チェコと言えば、男女の世界記録保持者を持つ「やり投げ大国」だ。すぐに結果に表れた。北口はその年の10月に日本記録の66メートル00を出した。

 「二人三脚で東京五輪でメダルをめざす」と目標を立てると、2人に試練が訪れる。昨年1月に合宿のために欧州に渡ったが、新型コロナウイルスの感染拡大で1カ月ほどで帰国せざるを得なかった。直接指導を受けられない日々に「不安があった」。それでも、メッセージアプリで練習メニューを共有し、日本で教えを忠実に守った。

 やりをさらに遠くに飛ばすためには「助走の強化」が必要だった。だからアドバイスにはいつも「走ることを怠らないように」と付け加えられた。北口は「投げることより走る練習ばかりしていた」と愚直に課題に取り組んだ。

 そして、予選はいきなり今季最高となる62メートル06を投げ、子どものようにはしゃいだ。だが、決勝では笑顔は影を潜めた。北口は「歴史を変えるチャンスは残っている。この悔しさを次にぶつけたい」と涙した。(辻隆徳)