票入れるから触らせろ?「票ハラやめて」議員ら声上げる

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横山翼、中村真理、多知川節子、編集委員・秋山訓子
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 選挙活動の際に不必要に身体に触り、しつこくプライベートのことを聞き、飲みに誘う。あるいは活動を妨害する。でも票を考えると問題にできない。先の国会で改正された候補者男女均等法にはハラスメント対策が盛り込まれた。今年は総選挙の年。票ハラスメント、まず知ることが防止への一歩だ。(横山翼、中村真理、多知川節子、編集委員・秋山訓子)

「何やっても許される」にNO 自民・有村治子参院議員

 2001年、30歳で参院に初出馬して当選しました。選挙活動を始めた時、後ろ盾もなく知名度ゼロの私が呼んでもらえたのはほぼ夜の宴席だけ。酔った男性の手が、前から後ろからとんできます。写真を撮ろうと言われ腰に手が回り、その手が次第に下がることも日常茶飯事でした。

 女性や若手が政治を志すには、こういう見えないハンディとも闘わなきゃいけないのかとがくぜんとしました。世代や党派を超え、実に多くの候補者や議会人が苦悩してきた現実です。

 当選して18年経ち、初代女性活躍相を経て参院自民党政審会長となって初めて、私は国会で問題提起しました。「候補者には何をやっても許されるというアンフェアな対応を社会として見過ごすことは、健全な民主主義の発展にもとる」と明確なメッセージを毅然(きぜん)と、かつ湿っぽくなり過ぎないよう打ち出すことに腐心しました。質疑はテレビで全国中継され、大きな反響を呼びました。保守政治家として歩んできた私がこういう問題を取り上げたことが、新鮮に受け止められたようです。

 日本の女性政治家はまだまだ少数派ですが、数々の修羅場を乗り越え、男性中心の仕組みに適応してきた強靱(きょうじん)な人が多い(笑)。それ自体悪いことではありません。悔しさをバネに、必死に努力してきた結果ですから。

 一方で、そういうタフな女性ばかりが社会の縮図ではないはずです。日々の暮らしに真面目に向き合う普通の女性や若い男性にも政治に参画して頂きたい。そのためにも、候補者へのハラスメントがない健全な民主主義の構築が必要だと考えます。(聞き手・秋山訓子)

「かわいそう民主主義」が土壌 国民・岸本周平選対委員長

 官僚から故郷の和歌山に戻り、衆院選に挑戦しました。落選を1回した後、当選。渡したチラシを目の前で破り捨てられ、足で踏まれ、つばを吐かれたことがあります。雑踏に紛れて足を踏まれ、脇腹をひじ打ちされたことも。一方で、街頭演説で「邪魔だ」「うるさい」と言われることはハラスメントだとは思いません。朝の通勤中にマイクで大きな音をたてているのを、確かに不愉快と感じる人もいるでしょうから。

 ただ、暴力行為やセクハラは一線を越していると思います。お酒の入っている懇親会などで女性の候補者が体を触られることは実際にあります。選挙で票を失うから我慢することと、会社で上司だから我慢することはよく似たベクトルで、弱い立場に対するハラスメントです。

 私は「かわいそう民主主義」と呼んでいます。有権者が候補者の上に立った瞬間に1票になると実感しています。「立派だ」「偉い」では票にならない。ひたむきに街頭に立って訴えている不器用な岸本さんをなんとか助けてあげないと、というかわいそう目線になった瞬間に応援してくれます。議員生活12年の実感であり現実です。こうした土壌がハラスメントを生んでいる面があるかもしれません。

 一方で二世、三世のサラブレッドの人たちは違います。後ろ盾があり、毛並みが良いから当選する。

 若い候補者に伝えたいのは、ハラスメントには泣き寝入りせず、きちんと問題提起してほしい。そしてやじられ、反論されても、堂々と受けて立ってほしいということです。(聞き手・横山翼)

記事後段では地方議員や立候補体験者が体験談を語ります。

■握手の手離してもらえず 太…

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