編み物、始めたのは意外と最近 高飛び込み実力者のメンタル管理術

飛び込み

照屋健
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 男子高飛び込みの予選。英国のトーマス・デーリー(27)は自らの演技を終えるたびに、会場の隅っこにあるベンチに座り、糸と針を手にした。

 「予選は長いので、ずっと集中していると精神的にもたないんだ」

 29人が6本の演技をする予選。自分が飛ばない間はピンクや青の糸をつかってスカーフを作ったり、友人のジャンパーを編んだり……。試合中にもかかわらず、編み物に興じる姿に、国内外のメディアの視線を釘付けにした。

 「性格的に常になにかをしていないと、気が済まないタイプ。手を動かしていたほうが精神的にリカバーできる」という。

 この種目のロンドン五輪銅メダリスト。男子シンクロ高飛び込みでは金メダルを手にした実力者だ。

 編み物を始めたのは、約1年半前。英国がロックダウンになるタイミングで、リラックスするために始めた。以来、食事のあとや移動後も編み物を続ける。五輪でメディアの話題になり、「自分にとっては日常的なことだが、話題になって驚いている」と笑顔だ。

 ただ、作るだけではない。作ったジャンパーをインスタグラムにアップし、脳腫瘍(しゅよう)を経験した人のチャリティーとして寄付も募っている。ゲイであることも公表し、「自分のストーリーを伝えることで、人々の意識を変えることができる」といいきる。

 世界トップのダイバーたちが集う予選を4位で通過。「明日、新たな気持ちで準決勝、決勝に臨みたい」。精神を集中させ、トップをねらっている。(照屋健)