「仲間の恥をさらすな」元陸軍伍長が語り続けた加害体験

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編集委員・伊藤智章

 自らの中国戦線での加害体験を証言し続けた元日本陸軍伍長、近藤一(こんどう・はじめ)さんが5月4日、老衰のため三重県桑名市内の高齢者施設で死去したことがわかった。101歳だった。葬儀は親族だけでとりおこなった。

 1940年に徴兵され、中国・山西省などを転戦。大戦末期には沖縄戦に投入され、負傷した。「捨て石にされた」という沖縄戦の証言を80年代に始め、中国人捕虜を銃剣で刺殺した初年兵訓練など中国での加害体験も隠さず語るようになった。晩年まで集会で語り続け、取材にも応じていた。市民団体による中国での聞き取り調査にも同行した。

「悪い兵隊ばかりではなかった」から始めた証言

 戦後76年。被害を実体験として語れる人は少なくなった。近藤一さんは、自ら手を下した戦争の「加害」体験をも後悔とともに語る、ごく少ない元兵士だった。

 最初からそうだったわけではない。沖縄戦の証言を始めたのは、沖縄での旧日本軍による住民殺害などが教科書検定で問題になったことがきっかけだ。「悪い兵隊ばかりではなかった」。当初はそれが言いたかった。戦友と「沖縄戦を語り継ぐ会」を作った。

 貧弱な歩兵銃や手投げ弾で戦車や火炎放射器の米軍に立ち向かわされた自分たち。惨めに死んでいった仲間のことを伝えたかった。

 では、沖縄戦に転じる前の中国戦線ではどうだったのか。そう問われ、体験した略奪、暴行についても語らざるを得なくなった。

 中国人捕虜の刺殺訓練、「数…

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