「原爆の火」テーマに訴え 弁論大会Vの高校生が八女で

核といのちを考える

佐々木亮
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 広島原爆の日の6日、広島の焼け跡から原爆の残り火がもたらされた福岡県八女市星野村で平和祈念式典が開かれた。この火に込められた思いをテーマに、全国高校弁論大会で最優秀賞を受賞した高校生が長崎県佐世保市から参加。火をともし続ける「平和の塔」の前で、受賞弁論を披露し、「みなさん、平和に向けて何か行動してみませんか」と呼びかけた。

 九州文化学園高校3年、井本志帆さん。大分県中津市で昨年12月に開かれた福沢諭吉記念第59回全国高校弁論大会で、原爆の火や平和について取り上げた。

 平和の塔と出会ったのは昨年夏。「この火は、平和を願ってともされていると私は思っていました。しかし実際は違いました」

 火は旧星野村出身の山本達雄さん(2004年に88歳で死去)が1945年9月、広島に住んでいた叔父の遺骨代わりに持ち帰った。当初は「恨みの火」だったが、葛藤の末、「恨んでばかりでは世界は平和にならない」と考えを深めていった。火は68年に村に託され、「平和の火」となった。

 こうしたいきさつを知り、井本さんは「今なお、戦争の苦しみ悲しみは続いている」と感じた。「戦争は、昔のことで私には関係ないと思っていた自分を恥ずかしく思います」とも。

 大会では「戦争を知らない私たちは、まずは行動してみることが大切」と訴えた。加えてこの日の弁論では、「平和の火」を採火して持ち帰り、7日に学校で全校生徒に紹介する計画を語り、「原爆の事実そのものであるこの火を囲み、みんなで平和の意義を考えたい。これが私のこの夏の平和に向けた行動です」と締めくくった。

 平和祈念式典には約80人が参加し、原爆投下時刻の午前8時15分に黙禱(もくとう)した。松井一実広島市長からは「絶対悪である核兵器の廃絶と平和の実現に向け、ともに力を尽くし、行動してくださることを期待しています」とのメッセージが寄せられた。星野中学校の生徒たちは「平和の火」をテーマにした歌を合唱した。

 山本さんの息子、拓道さん(71)は式典会場で井本さんの弁論を聞き、「父が一番伝えたかった思いを、若い人が受け止め、語ってくれた」と喜んだ。(佐々木亮)

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