「甲子園で満点のコーチャーに」 東明館を支える裏方

大村久
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 「回れ、回れー」。一塁コーチスボックスで、上川一樹(3年)が走り込んできた打者に向かい、両腕を何度も回す。7月末、甲子園出場を決めた佐賀県基山町の東明館のグラウンドに、身長168センチの小柄な体が発する声が響いた。

 上川は中学まで投手か外野手だった。東明館に入学直後、まわりの選手との実力差を思い知った。ダッシュを繰り返し、計300メートルを65秒以内で走る練習がクリアできず、1年の秋までグラウンドの隅でひたすら走った。

 その姿を見た豊福弘太監督から2年の冬、呼ばれた。「コーチャーをやらないか」。自分に野球の技術はないが、声の大きさには自信があった。「声でチームに貢献してほしいと評価された。役割をもらった」と納得した。

 練習中、下を向かず大声でチームを鼓舞する。動画サイトのコーチャー特集を繰り返しみて、コーチャーとしての的確な指示を学んだ。例えば、バントのサインで一塁走者に「ゴー」を出すタイミング、相手投手の牽制(けんせい)の癖をさぐり、一塁走者のリードの距離を指示する――。「声が大きく指示も間違いない」とチームの信頼も厚い。

 「甲子園でも自分のやることは変わらない。チームメートが思い切りプレーできるような雰囲気づくりは任せてほしい」と上川は言う。コーチャーとしてここまでの自己採点は90点。「甲子園では100点満点を目指す」=敬称略(大村久)