大接戦抜け出した野中生萌と野口啓代 W杯代表が感じた独特の緊張感

スポーツクライミング

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杉本怜の目

 スポーツクライミングの女子複合は、優勝したヤンヤ・ガルンブレト選手(スロベニア)の力が抜け出ていました。2位以下はどう転んでもおかしくない、大接戦になりました。

 その中で銀メダルをつかんだ野中生萌(みほう)選手は、最初の2種目で崩れなかったのが大きかった。スピードの3位はこの種目が専門の2選手に次ぐ位置で、最高のスタートを切ったと言えます。ボルダリングでもしっかり3位に入り、得意とは言えないリードに良い位置で臨めました。

 野口啓代(あきよ)選手は全ての種目で4位。本人のコメントを聞くと、得意のボルダリングがうまくいかず、悔しさの方が大きかったようです。課題は三つとも難しく設定されていて、苦労した印象でした。

 ただ、長く一緒に世界の大会を戦ってきた僕らからすると、この大会を最後に現役を引退する野口選手にメダルが渡ったことが何よりうれしかった。日本代表を長く引っ張ってくれた存在ですから。「本当におめでとう」と伝えたいです。

 スポーツクライミングはこれで初めての五輪の全日程が終わりました。選手の様子を見ていると、他の大会では舞台裏でふざけているような選手にも笑顔がなく、ぴりぴりした雰囲気が伝わってきました。ボルダリングやリードでは本来の力を出し切れなかった選手も多かった。五輪ならではの緊張感があったんだと思います。

 スピード、ボルダリング、リードのそれぞれに専門の選手がいて、単種目の大会でも楽しめる競技だと思います。選手の自分としては、3年後のパリ五輪の場に立てるように頑張っていきたいと改めて感じました。(ボルダリング・ワールドカップ日本代表)