研究された日本の競歩、「師匠」イタリアの強さ 女子の底上げも課題

陸上

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競歩 小坂忠広の目

 東京オリンピック(五輪)陸上競技の競歩の全3種目が終わった。

 2019年のドーハ世界選手権で、日本勢は男子20キロ、50キロで金メダル。五輪でも競歩初の金メダルの期待もあったが、実現しなかった。ドーハでの成績から、日本勢はかなり研究されていたと感じる。

 特に、男子20キロの優勝候補といわれた山西利和はレースパターンを読まれていた。山西がいつスパートで飛び出しても対応できるトレーニングを海外勢はしていたのだろう。山西がいつも以上にチラチラ見て、他の選手を気にしていたようだ。

 酷暑だったドーハで成果をあげた日本の暑熱対策も外国勢は参考にしていたようだ。今回、3種目中2種目を制したイタリアは、かつて日本が競歩を学んだ、いわば「師匠」の国。特に暑さ対策をしっかり研究していてさすがだと思った。2018年から埼玉所沢市で競歩合宿を実施して、気候や食べ物に慣れる工夫もしていた。五輪は世界選手権とはまったく別物で、全員が必死になって狙ってくることが改めてわかった。

 東洋大から旭化成に進んだばかりの2人、男子20キロ銀メダルの池田向希と同50キロ6位の川野将虎は評価したい。嘔吐(おうと)で遅れながら盛り返した川野のがんばりはメダルに匹敵する。就職後も2人が練習拠点にしている東洋大は酒井瑞穂コーチのもと、よく勉強し、独自のメソッドを持っている。

 一方、女子20キロは五輪初出場で22歳の藤井菜々子の13位が最高だった。男子に比べると層が薄い。長く女子の第一人者で牽引(けんいん)してきた岡田久美子もベテランになり、女子の底上げを早急にやらなければ、女子で世界と戦える選手は藤井だけになってしまう。

 体形やメンタル面など、女子の特性は男子と違うところがあるので、高校卒業後の女子の強化拠点整備と指導者の育成をしなければいけない。(ソウル、バルセロナ、アトランタ五輪競歩代表、日本陸連強化委員会前競歩部長)