ルーツに苦しんだ選手たち 多様性うたう五輪「理不尽な現実に目を」

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松本麻美、渡辺芳枝 鎌田悠
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 5度目のオリンピック(五輪)出場で初の決勝進出を果たした女子バスケットボール日本代表は8日、頂点をめざして王者米国と戦う。その中心選手の一人が馬瓜エブリン(26)だ。

 準決勝までの全5試合に出場し、1試合平均5・8得点。体格を生かしてチームに活力を与えた。

 妹のステファニー(22)は3人制バスケの東京五輪日本代表だ。2人は日本生まれだが、両親はガーナ人。日本代表で活動するため、子どもの頃に家族で日本国籍を取得した。

 エブリンは小学4年の時、地元のミニバスクラブに入るまでは、周りから見た目をからかわれ、ひとりで過ごすことも多かった。

 「日本人らしい体がほしい」。そう思うこともあった。中学1年の時には、コンテストで賞をもらった人権作文にこうつづった。

 「必死になってこみあげてくる怒りをおさえました。そして、新しい技を取得しました。それは、悪口を言われても、認めて、おもしろいことに変えてしまおう、という技です」。そのころ、自己紹介では「ガーナチョコって覚えてね!」と言っていた。心の傷を少しでも小さくするための自分なりの工夫だった。

 競技では活躍した。「名前をよばれるのがうれしくて。のびのび生きられるようになった。自信がついた」

 両親は片言ながら日本語ができたが、言葉が苦手だと地域とつながりづらい。「子どもがスポーツをする際は親と指導者の信頼関係がないとできない。両親が言葉の問題を抱えている場合、続けるのが難しくなる子もいる」と指導していた飯田多賀代さんは指摘する。「網の目から抜けてしまっている子どもはいると思う」。多様なルーツを持つ子どもたちがスポーツを続けられる環境を整えるためには、両親への言葉の支援が必要だと感じているという。行政文書の日本語は特に難しく、馬瓜家が日本国籍を取得する際も書類整備などを手伝った。

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