空手の「顔」だった植草歩、メダルに届かずも「五輪で出来て幸せ」

空手

竹園隆浩
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 東京オリンピック(五輪)は7日、空手女子組手61キロ超級で、元68キロ超級世界王者の植草歩が1次リーグで敗退した。女子の組手代表は3人全員が準決勝に進めず、メダルに届かなかった。

 「子どもたちに夢を与えたい。金メダルを目指す」と話してきた植草の挑戦は、予選に当たる総当たりの4試合で終わった。

 初戦シルビア・セメラロ(イタリア)戦で1分過ぎに中段蹴りで先制点(2点)を奪った時は、順調に滑り出したように見えた。しかし、不用意な蹴りに行ったところを倒され、突き(3点)をもらって逆転されると、その後、ともに1点ずつを加えたが、3―4で逆転負けした。

 続く2018年世界選手権68キロ級優勝のイリーナ・ザレツカ(アゼルバイジャン)戦も初戦を引きずるように1―4で2連敗。3戦目のメルテム・ホジャオウルアキョル(トルコ)戦は5―4で勝ったが、4戦目を迎える前に、他の選手の成績で、準決勝進出の可能性が消えていた。

中段突き決まり「気持ち良かった」

 迎えた最後のソフィア・ベルルツェワ(カザフスタン)戦。吹っ切れたようにようやく植草らしさが爆発した。得意の速い、沈み込むような中段突き(1点)で先制し、1点を返されたものの、再び、中段突き(1点)を決める。さらに3点を加えて5―1の快勝。バロメーターともいえる笑顔がはじけ、雄たけびが日本武道館に鳴り響いた。

 16年に68キロ超級で世界王者になる前から、空手の五輪採用への日本側の働きかけの「顔」だった。個人のSNSなども駆使。メディアに積極的に登場してきたのも、「空手をメジャーにしたい」の強い気持ちからだった。

 今春、指導者との練習内容や生活態度への考え方の違いから、全日本空手道連盟に訴えを起こした。本番が近づいてのトラブルに不安視されたが、初採用された五輪へ対する思いは少しも衰えなかった。

 様々な重圧の中、迎えた憧れの舞台だった。意地を見せた4試合目の動きが1試合目から出来ていれば、メダルへの道は開けていたかも知れない。

 植草は、「中段突きが決まった時は、気持ち良かった。五輪で初めて空手が出来たことは幸せに思う。サポートしてくれる方々のお陰で、この夢の舞台に立たせて頂いた。多くの方に感謝しています」と感慨深げに話した。(竹園隆浩)