編み物で注目集めた英国のデーリー 「色々な人が認められるように」

飛び込み

照屋健
[PR]

 東京オリンピック(五輪)の水泳の男子高飛び込みで銅メダルを獲得し、飛び込み選手としては史上最多の四つ目のメダルを手にした英国のトーマス・デーリーが7日、取材エリアで聞かれた。「LGBTQ性的少数者)であることを公表し、五輪に出て、何を感じたか」という趣旨の質問だった。

 今大会、試合の合間にスタンドやベンチで編み物をしている姿が注目され、ゲイであることを公表している27歳はいった。

 「課題はあると思う。でも、今回五輪に出場している国のなかには、LGBTが認められず、死罪になる国もある。自分がアイデンティティーをオープンにして大会に出られることは幸運なことだ」

 自らも、幼いころはアイデンティティーを隠して生きてきた。いじめにも遭い、「孤独だった」という。7歳で競技を始め、2008年北京五輪に14歳で出場。「飛び込み王子」ともいわれ、ロンドン五輪で銅メダルを獲得した。

 ゲイを公表したのはロンドン五輪後の13年。「スポーツ選手として、ゲイであることを公にすることはすごく難しかった」と振り返る。ファンが受け入れてくれるかもわからない。サポートをする人が減るかもしれない、と不安にもなったという。

 それでも、自分らしく生きることが今の競技生活にもつながっている。

 17年に米国の脚本家の男性と結婚。リオデジャネイロ五輪の高飛び込みでは18位に終わり、落ち込んでいたときには、そのパートナーに励まされた。東京五輪出場を決めると、18年に家族に迎えた3歳の息子、ロバート君の存在を挙げ、「息子が五輪を見られるように、リオのときはうまくいかなかったんじゃないか」と応援してもらった。

 今大会、白いカーディガンを編んでインスタグラムに投稿するなどして、世界中の注目を集めた。重圧を感じさせないのびのびとした演技でシンクロ高飛び込みでは金メダル、高飛び込みでも2大会ぶりに銅メダルを手にした。取材エリアでは、パートナーや家族への感謝の言葉が絶えなかった。

 「今、こうやってゲイであることをオープンにして堂々といきられることに、感謝しかない。LGBTだけではない。レイシズム、宗教、いろいろな種類の人が認められるような世界になれば、もっと良い世界になるとおもう」。しみじみと言った。(照屋健)