村上宗隆は「将来を担う選手」 稲葉監督の思い乗せた、21歳の一打

野球

井上翔太
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 日本に先取点をもたらしたのは、代表最年少の21歳だった。

 三回1死。村上宗隆は、追い込まれた後、チェンジアップに体を泳がされなかった。バットの芯でとらえた打球が、中堅左のスタンドまで届いた。ソロ本塁打。一塁を回ったところで、両手をたたいた。「まずは先制点を取れてよかったです」

 打率0割8分3厘。

 ヤクルトに所属する村上が、プロ野球の1軍デビューを果たした2018年の成績だ。にもかかわらず、翌年3月、初めて日本代表「侍ジャパン」の強化試合メンバーに選ばれた。稲葉篤紀監督は「若い選手を試す最後のチャンス。将来を背負うであろう選手」と意図を説明した。

 村上の成長曲線は、当時の想定を上回った。

 19年は36本塁打で新人王に輝き、昨年は最高出塁率(4割2分7厘)のタイトルとベストナインを獲得。チームの顔になり、監督は「どっしり感のような風格が出てきた」と評価した。

 前回野球が行われた08年の北京五輪のとき、村上は8歳。今回の代表に選ばれた際、五輪の印象は「陸上とか他の競技の大会なのかな。僕が小さい頃、野球はやっていなかった」とピンとこない様子だった。

 東京五輪の追加競技として3大会ぶりに復活した野球は、24年のパリ五輪から外れている。それでも村上は、今後も続く別の国際大会で、日本を引っ張る存在となるだろう。19年春に代表を経験させた首脳陣の判断は、間違っていなかった。それを証明する一発だった。井上翔太