キプチョゲ、史上3人目の2連覇 「哲学者」は暑さ対策も完璧だった

陸上

酒瀬川亮介
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 東京オリンピック(五輪)陸上男子マラソンで、世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)が、暑さも他の選手もまったく相手にしない圧倒的な強さを見せつけ、1960年ローマ、64年東京で連覇したアベベ・ビキラ(エチオピア)、76年モントリオール、80年モスクワのワルデマル・チェルピンスキー(東ドイツ)に続き、史上3人目の五輪マラソン2連覇を達成した。

 レース運びは完璧。どんなペース変化にも対応できるように先頭のすぐ後ろにつき、30キロ過ぎで前に出ると35キロまでの5キロを14分28秒まで上げ、スパート一発で後続を簡単にあきらめさせた。

 「哲学者」というニックネーム通り、暑さにも表情ひとつ変えない。ゴール直前になって観衆に手を振り、胸をたたいて喜びを表に出した。2位と1分以上の差がついていた。

 「2年間、特に最後の5カ月は集中して東京五輪に向けて準備した。日本は暑いと分かっていた。札幌もだ。それに適応できるようにトレーニングした」。レース後の記者会見でも表情を崩さずに話した。

 もともとは5000メートルが中心のトラックランナーだった。けがの影響でマラソンに転向。2013年のマラソン初挑戦以来、これで15戦13勝となった。18年のベルリンでつくった2時間1分39秒の世界記録はキプチョゲ自身にしか破れそうにない。

 マラソンでつらいことはあるのかと問われると、「もちろん苦しい。トレーニングはつらい。でも走ることは楽しいし、楽しめる」。走る世界を変えた人と記憶されたいとも話す36歳は、まるで走りを悟ったかのように答えた。(酒瀬川亮介)