大迫傑が見せた充実のラストラン 6位入賞後、口にした後輩への思い

陸上

堀川貴弘
[PR]

 大迫傑の目が赤かった。これまで何度も流した悔し涙ではなく、ラストレースを走り切った充実感からの涙だった。

 東京オリンピック(五輪)陸上男子マラソンで6位に入賞し、「自分自身の力は出し切れたと思います。みなさんにメダルを期待してもらっていたけれど、今回はそういうチャンスがなかった」と振り返った。

 チャンスはあったように見えた。30キロ過ぎ、五輪連覇を狙うエリウド・キプチョゲが先頭集団から抜け出た時に遅れた。ただ35キロ過ぎに2選手を抜いて6位に上がった。さらに4人の2位集団に一時は15秒ほどまで迫っていた。

 大迫は言う。「(集団を)追うというよりは100%の力を出し切りたい、という思いで自分のリズムを意識した」。大迫のマラソンは、体内のエネルギータンクと相談し、42・195キロをしっかり走り切ることを第一にしていた。そうすることで記録も順位もついてきた。この日も大迫流を貫いた。

 東京五輪を現役ラストにすると公にしてから10日余り。「最後の直線でこれが最後だと思いました」。レース後すぐに後輩たちへの思いを口にした。「今日の6位を最低ラインとして、服部(勇馬)君や中村(匠吾)君たちがマラソン王国としてのプライドを持って戦ってくれると思うし、それを手助けできるように僕も挑戦していきたい」

 練習拠点を米国に移したり、2度の日本記録を出したり、若手の育成に力を貸したり、常に先頭を走ってきた。「頑張ったなあって思います。普通に」。大迫はそう言って去った。(堀川貴弘)