池澤夏樹さん「ウソにまみれた五輪」 感動の消費で終わらないために

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聞き手・斎藤徹
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 コロナ禍のなか強行された今回の東京五輪。招致活動から開催まで底流にあるのは何か。作家・池澤夏樹さん(76)に聞いた。

 今回の東京五輪全体を総括すれば、あまりにもウソが多かった五輪ということになるかと思います。

池澤夏樹(いけざわ・なつき)

1945年、北海道帯広市生まれ。作家、詩人。ギリシャや沖縄、フランスに住み、2009年から札幌市在住。芥川賞を受賞した「スティル・ライフ」のほか、「静かな大地」や「カデナ」など作品多数。朝日新聞朝刊で小説「また会う日まで」を連載中。

 招致段階で、当時の安倍晋三首相は、東京電力福島第一原発事故について「状況はコントロールされている」と発言しました。原子炉建屋内にはメルトダウンした核燃料が取り出せないままで汚染水も日々たまっているなど、事故が今も収束していないのは周知の事実です。

 当初盛んに言われていた「復興五輪」もウソ。結果として、東北復興とは何の関係もない五輪でした。

 招致委員会が提出した立候補ファイルでは、開催時期の東京の気候が「温暖でアスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」とうたっていました。

 池澤さんはインタビューの後半で、1964年の東京大会と今回の大会との違いを語ります。そして、自らが住む札幌市が2030年冬季五輪の招致を目指していることにも異議をとなえます。

 8月の日本は、北海道も含め、どこも暑いことを、僕たちは知っています。大会開催中、テニスのジョコビッチら、選手からは異常な暑さに怒りの声が上がりました。

 最大のウソは、日本政府が、「国民の命と安全を最優先する」と言い張り、五輪開催に伴う新型コロナ感染拡大のリスクを無視し、開催を強行したことです。

 五輪はスポーツの祭典、お祭…

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