コロナ下で広がる地方移住 「豊かな生活」考える転機に

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明楽麻子
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東京の大手損保会社を辞め、熊本県南阿蘇村で農業を始めた橋本佳奈さん=提供写真
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 コロナをきっかけに、地方に移り住む人が増えているという。ポストコロナの時代を模索する人々のもとを訪ねた。

 熊本市内から車で約1時間、雄大な阿蘇山のふもとに南阿蘇村はある。

 田園風景が広がる人口約1万人の村は、2016年の熊本地震で大きな被害を受けた。復興に取り組むこの村で、4月から農業を始めた女性がいる。橋本佳奈さん(25)だ。

 橋本さんは昨年4月、新卒で大手損保会社に入社し、東京の本社で働き始めた。ところが新型コロナの感染拡大に伴い、直後からテレワークに。「組織の歯車にもなっていない。人の役に立つ仕事ができているのか」と疑問がわくようになった。

 そんなとき、「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」という映画を見た。米カリフォルニア郊外で、荒れた農地を開拓して農場を作る夫婦を追ったドキュメンタリー映画だ。自然の循環を大事にする生活に興味をもった。

 昨年8月の夏休み南阿蘇村で農園見学をした。出会ったのが、全国の女性農業者らでつくる「NPO法人 田舎のヒロインズ」で理事長を務めるコメ農家の大津愛梨さん。4人の子供を育てながら働く姿に、ロールモデルを見つけた気がした。今年3月に会社を辞めると、4月からさっそく村に移り住んだ。

 午前中は、大津さんの農園で米作りを学び、午後は大豆農家でみその仕込みを手伝う。夜は、温泉旅館のレストランでホールの仕事をしている。三つの仕事を掛け持ちしても、収入は会社員時代の半分になった。

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苗に水やりをする橋本佳奈さん=熊本県南阿蘇村

 それでも「自然に向き合って食を生み出す。毎日新しい学びがあってお金には代えられません」と屈託ない。いつか、農村と都市の距離を縮めるようなオンラインのワークショップや、農産物の海外発信もしたいと考えている。

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