夏の甲子園、近年の打高投低に異変? 重視される守備力

山口裕起
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 第103回全国高校野球選手権大会日本高校野球連盟、朝日新聞社主催)は10日、兵庫県西宮市阪神甲子園球場で開幕する。台風9号の影響で9日の開会式と3試合が順延され、1日遅れてのスタートとなる。昨夏は新型コロナウイルスの影響で中止となっており、開催は2年ぶり。参加3603チームの頂点をかけ49代表が戦う。

 開会式は午前9時から。新型コロナ対策のため入場行進の一部を簡素化するなどする。選手宣誓は小松大谷(石川)の木下仁緒(にお)主将が務め、俳優・歌手の山崎育三郎さんが大会歌「栄冠は君に輝く」を歌う。今大会から休養日が1日増えて3日となり、順調に進めば、決勝は26日の予定。

 入場は学校関係者に限り、一般客向けのチケット販売は行わない。

守備力が優勝争いを左右か

 大阪桐蔭を筆頭に智弁学園(奈良)、智弁和歌山と、投手を中心に守りの堅いチームが頂点に近い、とみる。

 夏の全国選手権は近年、「打高投低」が顕著だった。コロナ禍の今夏、様相が変わりそうだ。練習時間に加え、対外試合の制限などを受けてきたため、全体的にチームの仕上がりが遅れている印象を受ける。特に投手よりも打者でその影響が色濃い。

 地方大会では連打や長打で一気に畳みかけるシーンはあまり見かけなかった。「打者は投手の球を打つ機会が少なく、打席での反応や感覚が磨けなかった。どうしても投手が有利になる」。ある有力校の監督はそう漏らした。

 出場校のなかで最多5度の全国制覇を誇る大阪桐蔭とて例外ではなかった。

 大阪大会では攻めあぐねて劣勢になる展開が目立ち、準々決勝は八回に逆転、準決勝は延長十四回、タイブレークの末に、決勝は九回サヨナラと苦戦が続いた。それでも勝ちきれたのはエース左腕・松浦慶斗を中心とした、高い守備力があったからこそ。7試合で失策は3。準決勝では一打サヨナラ負けのピンチで内野ゴロを打たせて併殺を奪うなど、堅守はさすがだった。

 甲子園でも粘り強く勝機を見いだしていけるのか。初戦の相手は、同じく激戦区の西東京を勝ち抜いた東海大菅生。こちらも好左腕の本田峻也を擁し、守備も6試合で3失策と堅い。大会の行方を左右する一戦となりそうだ。

 智弁学園、智弁和歌山も強打のイメージが強いが、好投手を中心に守りもハイレベルだ。智弁学園の右腕・小畠一心と左腕・西村王雅は、ともに1年夏から甲子園のマウンドを経験し、度胸がある。智弁和歌山の右腕・中西聖輝も最速147キロで安定感は抜群だ。

 横浜、浦和学院埼玉)、愛工大名電(愛知)はタイプの違う投手を複数そろえ、やはり「負けない野球」に力点を置いてきた。今春の選抜で、5試合無失策の堅守と多彩な投手陣を武器に準優勝した明豊(大分)も、その守備力をさらに磨いてきた。

 仕上がりが遅いということは、その分、伸びしろが大きいとも言える。大会のなかで、急速に成長して一気に駆け上がる。そんなチームが現れることも十分、あり得る。(山口裕起)